ワクチン接種回数が19日の発表で七千万回を越えた。日本のワクチン接種はペースダウンすることもなく順調に進んでいる。
日本人は「おもてなし」が敵意に変わったのではない。オリンピックを誘致して「おもてなし」と言っていた人たちと、オリンピックに敵意をむき出しにしている人たちは最初から全く別で、誘致の段階から既に対立していた。
オリンピックに反対している人たちは外国人を排斥したいのではなく、安倍政権から今の菅政権に続く自民党支配、ひいては資本主義そのものを排斥したい人たちだ。そこを間違えてはいけない。
誘致の段階ではまだ「オリンピックそのものには反対していない」と言っていたが、オリンピック開催のためのインフラ整備にことごとく反対し、最初から世界的に見てもみすぼらしいオリンピックをやるように導こうとしていたし、インフラ整備の持つ経済効果を全く無視していた。
ただ、安倍政権時代の好景気と国民のオリンピックを望む声に押されて、しばらくオリンピック以外の所で政府を糾弾してきたが、コロナ下で感染拡大の不安心理に付け込んで、あたかもオリンピック中止もやむを得ないという声がすべてオリンピック反対であるかのように印象操作をし、存在しない「国民の声」を捏造し、海外にそれを吹き込んで回っていた。
安倍前首相が反日的な人が五輪に反対しているというようなことを言ったか言わなかったかは知らないが、それほど間違ったことではない。むしろ図星だから左翼はウキキーとなっている。おおむね右翼はオリンピックに賛成している。
開会式は去年延期になった時点で主要なアーチストがほとんど抜けてしまったから、やったとしても内容は期待しない方が良い。やらなくてもいい。
それでは「夏の夜や」の巻の続き。挙句まで。
二十五句目。
蕨こはばる卯月野の末
相宿と跡先にたつ矢木の町 支考
『校本芭蕉全集 第五巻』の中村注に橿原の北とあり伊勢街道の八木札の辻と思われる。近くに近鉄大和八木駅がありここでも大阪線と橿原線が交差している。
相宿になっても、翌日はそれぞれ違う方向に行く。
二十六句目。
相宿と跡先にたつ矢木の町
際の日和に雪の氣遣 維然
別れ際に空を見て、雪にならないといいねと言葉を交わす。
二十七句目。
際の日和に雪の氣遣
呑ごころ手をせぬ酒の引はなし 曲翠
「手をせぬ酒」は『校本芭蕉全集 第五巻』の中村注に「交ぜ物で調合しない生(き)のままのもの」とある。水を加えてない原酒のことか。あるいは名酒に安い酒を混ぜたものがあって、それに対してものか。
雪が降ってきそうな寒い日には一杯やりたいというのは、昔も今も同じだ。
二十八句目。
呑ごころ手をせぬ酒の引はなし
着かえの分を舟へあづくる 臥高
うまい酒があるというので、船に乗る前に飲みに行く。着替えの衣服を船に置いといて、席は確保しておく。
二十九句目。
着かえの分を舟へあづくる
封付し文箱來たる月の暮 芭蕉
『校本芭蕉全集 第五巻』の中村注には『芭蕉翁付合集評註』(佐野石兮著、文化十二年)の引用として、「さだめてしろがね入たる文箱ならむ」とある。江戸時代は飛脚を用いて現金を送金することもあったので、封付けした文箱はそういう意味だったのだろう。
船に乗ろうとしたら急に現金が届いたので、いったん店に戻る。
三十句目。
封付し文箱來たる月の暮
そろそろありく盆の上臈衆 支考
「そろそろ」は静かに、ゆっくりとということ。上臈はばたばた歩いたりはしない。
盆は大晦日と並んで決算の日だったから、上臈のところには次々と現金が届いていたのだろう。
前句をお盆の旧歴七月十五日の月とする。
二裏、三十一句目。
そろそろありく盆の上臈衆
虫籠つる四条の角の河原町 維然
虫売りはコトバンクの「世界大百科事典 第2版「虫売」の解説」に、
「江戸時代には6月ころから,市松模様の屋台にさまざまな虫籠をつけた虫売が街にあらわれ,江戸の風物詩の一つであった。《守貞漫稿》には,〈蛍を第一とし,蟋蟀(こおろぎ),松虫,鈴虫,轡虫(くつわむし),玉虫,蜩(ひぐらし)等声を賞する者を売る。虫籠の製京坂麁也。江戸精製,扇形,船形等種々の籠を用ふ。蓋(けだし)虫うりは専ら此屋体を路傍に居て売る也。巡り売ることを稀とす〉とある。虫売は6月上旬から7月の盆までの商売で,江戸では盆には飼っていた虫を放す習慣だったので盆以後は売れなくなったという。」
とある。江戸だけでなく、京の四条河原もお盆まで虫売りが出て賑わっていたのだろう。
三十二句目。
虫籠つる四条の角の河原町
高瀬をあぐる表一固 曲翠
「一固」は「ひと小折」で一箱の荷物をいう。
柳小折片荷は涼し初真瓜 芭蕉
の句もある。今日では二三箱をバンドで束ねた出荷する単位を「ひとこり」ということもある。
高瀬は四条河原だと高瀬川だが高瀬舟とも取れる。
三十三句目。
高瀬をあぐる表一固
今の間に鑓を見かくす橋の上 臥高
高瀬舟から荷物を降ろしていると、その間に橋の上を通る鑓が見えなくなる。大名行列か何かだろうか。
三十四句目。
今の間に鑓を見かくす橋の上
大キな鐘のどんに聞ゆる 維然
「どん」は鈍で、くぐもった鈍い音が聞こえてくる。空気が湿っているのか。花の定座の前で、春の霞みの暗示か。
三十五句目。
大キな鐘のどんに聞ゆる
盛なる花にも扉おしよせて 支考
花見を待ちきれずに、夜明けの鐘とともに群衆が寺に押し寄せる。
挙句。
盛なる花にも扉おしよせて
腰かけつみし藤棚の下 臥高
押し寄せたのは藤棚の花だった。藤波というくらいだから怒涛のように。家の間近に迫った花を縁側に腰かけたまま摘む。春もたけなわで一巻は目出度く終わる。
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