今日は一日曇りで午後から雨、夜には雷になった。今日も籠城。
連休も終わりで、とにかくこれで感染者が減ってくれて、誰も死なないことを祈るだけだ。
世話好きの熟年尼にときめいて
変わったお茶をご馳走になる
それでは「かくれ家や」の巻の続き、挙句まで。
二裏。
三十一句目。
鹿の音絶て祭せぬ宮
冠をも落すばかりに泣しほれ 芭蕉
冠(ここでは「かむり」と読む)は神主さんのかぶるもので、それを落とすばかりにというのは、うずくまって泣き崩れる様であろう。
一体この神社に何があったのか。おそらく人も亡くなったのであろう。
三十二句目。
冠をも落すばかりに泣しほれ
うつかりつづく文を忘るる 等躬
届いた手紙を途中まで読んで早合点して泣き崩れてしまったが、実はその手紙、続きがあった。前句の哀傷を笑いに転じる。
三十三句目。
うつかりつづく文を忘るる
恋すれば世にうとまれてにくい頬 素蘭
「にくい」は憎いというそのままの意味のほかに、「そりゃあにくいねーー」だとか「ほんと、にくいお人」みたいに褒めて使う場合もある。この場合は後者の意味か。
恋したがために周囲に焼餅を焼かれハブられてしまったか。それでも嫌いになれないその頬がにくい。これというのも手紙の続きを置いてきてしまって、人に読まれてしまったからだ。
三十四句目。
恋すれば世にうとまれてにくい頬
気もせきせはし忍夜の道 栗斎
相手は逢ってはいけない人だったために周囲の猛反対にあった。それでもひそかに合いに行く。夜になってから家を出て、気持ちは急くばかり。
三十五句目。
気もせきせはし忍夜の道
入口は四門に法の花の山 曾良
「四門」というと釈迦の出家の動機となった四門出遊のことか。
お釈迦様が城から出ようとしたのは、実は恋人に会うためで、そのつど老人、病人、死人にはばまれ、ついに北門からの脱出に成功したが、僧に捕まって出家する羽目になった。
挙句。
入口は四門に法の花の山
つばめをとむる蓬生の垣 等雲
前句を草の生い茂った山の中の庵とし、南の方からはるばるやってきたツバメ(芭蕉・曾良)もそこでやすらぐことになる。こうして目出度く一周して可伸庵に戻って、この歌仙は終了する。
かくれ家や目だたぬ花を軒の栗
まれに蛍のとまる露草 栗斎
入口は四門に法の花の山
つばめをとむる蓬生の垣 等雲
こうした発句と挙句の呼応は、「詩あきんど」の巻の、
詩あきんど年を貪ル酒債哉
冬-湖日暮て駕馬鯉(うまにこひのする) 芭蕉
詩あきんど花を貪ル酒債哉
春-湖日暮て駕興吟(きょうにぎんをのする) 芭蕉
にも似ている。
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