2020年6月11日木曜日

 今日の午前中は晴れてたが時折狐の嫁入り、午後は雨になり時折激しく降った。梅雨入りだが、昔の梅雨のような「しとしと五月雨」ではない。
 NHKの黒人デモを解説したアニメが差別的ということで話題になっていて、ネット上で見た。ああやっぱりと思った。
 少なくとも左翼の家庭で育った者としては、こんなわかりやすい絵はない。
 中央で終始このデモについて語る拳を振り上げた人は黒人というよりも日焼けした肉体労働者だ。それも何十年も前のまだつるはしをふるってた頃の炭鉱や工事現場にいそうな労働者で、着ている服はランニングシャツだ。
 そして「貧富の差」と書かれている。これも言わずと知れた資本主義の矛盾、つまり搾取された労働者の純粋な怒りが今回の暴動の本質だと言いたいわけだ。
 NHKは中国贔屓で知られていて、天安門事件の死者数も中国政府の発表どおりに放送する。今年の天安門事件の日には「かわいすぎ!?話題のパンダ大集合」を放送した。
 香港に対するコメントの多くも、中国に逆らっても勝てるわけがない、それも彼らはわかっているはずだという類ものもだ。
 黒船が日本を開国し、原爆が日本を民主化したように、中国が日本を共産化してくれることを期待しているんだろう。そして『キングダム』のように集近閉が天下統一をすれば世界が平和になるとでも思っているのだろうか。
 NHKに限らず、バンクシーの絵もアメリカを燃やせというメッセージだと思っている人も多いだろう。コロナの混乱と黒人の差別を利用して革命を起こそうという夢を持つ人は沢山いる。みんな冷静になろう。
 アメリカのデモの映像を見ていると白人の方が多いんじゃないかと思うが、本音の所、黒人はどう思っているのだろうか。
 アマビエ八十句目。

   戦いの記憶も遠い春の海
 ここは命の夢のふるさと

 それでは「応仁二年冬心敬等何人百韻」の続き。

 名残裏。
 九十三句目。

   かりもうちわび暮れわたる比
 身にかかる涙ならじと慰めて    修茂

 金子金次郎は、

 なき渡る雁の涙やおちつらむ
     もの思ふやどの萩の上露
            よみ人知らず(古今集)

の歌を引き、雁の涙は寄り合いだという。
 秋の露を雁の涙を見立てたもので、露は天然のもので、自分の涙ではない。これは「かこちがほなる」のパターンであろう。雁の涙が自分にかかったのではない。涙はあくまで自分自身の悲しみから来るものだ、誰のせいでもない、すべては自分の問題なんだと慰める。
 恋の涙はえてして泣かせた相手を恨む者だが、それは相手も苦しんだ末に出した結論で、自分だけが傷ついたわけではない。ふられれば傷つくがふるほうも傷ついているものだ。
 九十四句目。

   身にかかる涙ならじと慰めて
 品こそかはれ世はうかりけり    長敏

 前句を他人の涙として、身分はいろいろ違っていても悲しいね、と付ける。
 『源氏物語』帚木巻の雨夜の品定めの左馬頭(さまのかみ)によれば、上品は基本的には三位以上の上達部でそれより下の殿上人が中品になるが、成り上がりは上達部でも中品で、没落した殿上人も中品になるという。
 参議予備軍の四位は上品に準じ、受領は中品になる。
 九十五句目。

   品こそかはれ世はうかりけり
 目の前にあるを驚け六道      宗悦

 品の上下から仏教の六道に持ってゆく。ここでは「むつのみち」と読む。
 天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道の上下に較べれば、貴族の上中下の品など何だというわけだ。「驚け」は咎めてには。
 九十六句目。

   目の前にあるを驚け六道
 まなぶはうとき歌のことわり    心敬

 六道を詩の六義に取り成す。詩経に、

 「故詩有六義焉。一曰風、二曰賦、三曰比、四曰興、五曰雅、六曰頌。」

とある。古今集仮名序には「うたのさま、むつなり。」とあり、「そへうた、かぞへうた、なずらへうた、たとへうた、ただことうた、いはひうた、」の六つを言う。

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