ゆきちゃん(猫)の生誕三十五年の日にふさわしく、穏やかな晴れた一日で、夜には満月が昇る。
緊急事態宣言が出たものの、今日もいつもよりは少ないものの、やはり車はたくさん走っていて人も歩いている。
多分様々な団体が営業自粛を回避しようと政治家に働きかけ、骨抜きにするつもりなのだろう。だが大事なことは店が開いているかいないかではなく、「行かない」ことだ。誰も来なければ自ずと店は閉まる。
風俗だって、金に目のくらんだ店長は開けたいだろうけど、働く方は命の危険がある。
ところで一応「異種族レビュアーズ」を擁護しておくが、あれは多種多様な種族の多種多様な性的志向の共存をテーマにしたもので、そこには売春婦を見下さない日本の遊郭の育んだ「粋」の心が受け継がれている。まあ、外国人にはわかりにくいかもしれないけど。
信じよう不幸の先の花の春
知らず年賀の遠方の友
それでは「兼載独吟俳諧百韻」の続き。
名残裏。
九十三句目。
杖を頼てこゆる山みち
白波の太刀をも持ず弓もなし 兼載
「白波」はコトバンクの「精選版 日本国語大辞典の解説」に、
「② (後漢の末、西河の白波谷にこもった黄巾の賊を白波賊と呼んだという「後漢書‐霊帝紀」の故事から) 盗賊。しらなみ。
※本朝文粋(1060頃)四・貞信公辞摂政准三宮等表〈大江朝綱〉「隴頭秋水白波之音間聞、辺城暁雲緑林之陳不レ定」
とある。「大辞林 第三版の解説」には「-有りて東寺に入る/東鑑 建保四」 という用例もある。盗賊のこと。
この場合は盗賊が太刀や弓を持たないのではなく、白波が出たとしても太刀も弓もないという意味で、杖だけが頼りという前句に繋がる。
RPGでは杖も一応打撃系の武器として扱われるが、攻撃力は低く、むしろ魔力を増幅させるアイテムとして用いられる。魔法のないこの世界ではあまり役に立ちそうもない。仕込み杖ならまだいいが。
九十四句目。
白波の太刀をも持ず弓もなし
かれたる殿のすめる川はた 兼載
前句の白波を川の波のこととし、「かれたる川」で受ける。
「太刀をも持ず弓もなし、殿のすめる白波のかれたる川はた」という意味。
九十五句目。
かれたる殿のすめる川はた
きりきざむ漆の枝のかせ者に 兼載
「かせ者」は「悴者」で、コトバンクの「精選版 日本国語大辞典の解説」に、
「① 中世後期の武家被官の一つ。侍の最下位、中間の上に位置し、若党や殿原(地侍)に相応する身分。かせにん。かせきもの。
※常陸税所文書‐(年未詳)(1452‐66頃)一〇月一四日・書状「巨細者可加世者申候」
② 独立した生計をいとなめず、他人の家に奉公などして生計をたてた貧しい者。
※本福寺跡書(1560頃)生身御影様大津浜御著岸之事「地下住人の枠(カセモノ)」
とある。
「きりきざむ漆の枝」は枝漆のことか。枝漆は漆を幹からではなく、枝を切って水に浸してにじみ出てきた漆のこと。
前句を枯れた川のほとりに隠棲する殿様とし、悴者に漆を作らせている。
九十六句目。
きりきざむ漆の枝のかせ者に
手足をみればかよげなりけり 兼載
「かよげ」がわからない。か弱げ?
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