2020年4月8日水曜日

 ゆきちゃん(猫)の生誕三十五年の日にふさわしく、穏やかな晴れた一日で、夜には満月が昇る。
  緊急事態宣言が出たものの、今日もいつもよりは少ないものの、やはり車はたくさん走っていて人も歩いている。
 多分様々な団体が営業自粛を回避しようと政治家に働きかけ、骨抜きにするつもりなのだろう。だが大事なことは店が開いているかいないかではなく、「行かない」ことだ。誰も来なければ自ずと店は閉まる。
 風俗だって、金に目のくらんだ店長は開けたいだろうけど、働く方は命の危険がある。
 ところで一応「異種族レビュアーズ」を擁護しておくが、あれは多種多様な種族の多種多様な性的志向の共存をテーマにしたもので、そこには売春婦を見下さない日本の遊郭の育んだ「粋」の心が受け継がれている。まあ、外国人にはわかりにくいかもしれないけど。

   信じよう不幸の先の花の春
 知らず年賀の遠方の友

 それでは「兼載独吟俳諧百韻」の続き。

 名残裏。
 九十三句目。

   杖を頼てこゆる山みち
 白波の太刀をも持ず弓もなし    兼載

 「白波」はコトバンクの「精選版 日本国語大辞典の解説」に、

 「② (後漢の末、西河の白波谷にこもった黄巾の賊を白波賊と呼んだという「後漢書‐霊帝紀」の故事から) 盗賊。しらなみ。
  ※本朝文粋(1060頃)四・貞信公辞摂政准三宮等表〈大江朝綱〉「隴頭秋水白波之音間聞、辺城暁雲緑林之陳不レ定」

とある。「大辞林 第三版の解説」には「-有りて東寺に入る/東鑑 建保四」 という用例もある。盗賊のこと。
 この場合は盗賊が太刀や弓を持たないのではなく、白波が出たとしても太刀も弓もないという意味で、杖だけが頼りという前句に繋がる。
 RPGでは杖も一応打撃系の武器として扱われるが、攻撃力は低く、むしろ魔力を増幅させるアイテムとして用いられる。魔法のないこの世界ではあまり役に立ちそうもない。仕込み杖ならまだいいが。
 九十四句目。

   白波の太刀をも持ず弓もなし
 かれたる殿のすめる川はた     兼載

 前句の白波を川の波のこととし、「かれたる川」で受ける。
 「太刀をも持ず弓もなし、殿のすめる白波のかれたる川はた」という意味。
 九十五句目。

   かれたる殿のすめる川はた
 きりきざむ漆の枝のかせ者に    兼載

 「かせ者」は「悴者」で、コトバンクの「精選版 日本国語大辞典の解説」に、

 「① 中世後期の武家被官の一つ。侍の最下位、中間の上に位置し、若党や殿原(地侍)に相応する身分。かせにん。かせきもの。
  ※常陸税所文書‐(年未詳)(1452‐66頃)一〇月一四日・書状「巨細者可加世者申候」
  ② 独立した生計をいとなめず、他人の家に奉公などして生計をたてた貧しい者。
  ※本福寺跡書(1560頃)生身御影様大津浜御著岸之事「地下住人の枠(カセモノ)」

とある。
 「きりきざむ漆の枝」は枝漆のことか。枝漆は漆を幹からではなく、枝を切って水に浸してにじみ出てきた漆のこと。
 前句を枯れた川のほとりに隠棲する殿様とし、悴者に漆を作らせている。
 九十六句目。

   きりきざむ漆の枝のかせ者に
 手足をみればかよげなりけり    兼載

 「かよげ」がわからない。か弱げ?

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