躑躅や花水木が咲きだしたというのに、感染者は1.1倍ペースで増え続けているという。この分だと来週には一万越えか。それでも仕事はまだ続く。
月の宴の門も開いて
山寺のBGMは虫の声
それでは「五人ぶち」の巻の続き。
初裏。
七句目。
徳利匂ふ酢を買にゆく
丸三とせ旅から旅へ旅をして 芭蕉
旅ではもっぱら酒を入れていた徳利も、家に帰れば酢が必要になる。酒の匂いが染み付いた徳利の匂いを嗅いでから酢を買いにゆく。
八句目。
丸三とせ旅から旅へ旅をして
境の公事の今に埒せぬ 野坡
三年経って戻ってきて、そういえばあの境界線争いはどうなったかと聞いてみたら、まだやってるよ、ということだった。
境界線争いは農地の問題もあるし、鹿島神宮と鹿島根本寺の争いのようなものもある。根本寺の方は仏頂和尚の活躍によって、七年かけて寺領を取り戻した。
九句目。
境の公事の今に埒せぬ
真白ふ松も樫も鳥の糞 野坡
「樫」は普通は「かし」だが、ここでは柏のこと。松と柏は「松柏」とも言われ常緑樹を意味するが、墓所の暗示もある。
所有者のはっきりしない土地は管理が行き届かなくなり、鳥の糞に真っ白に汚れるがままになっている。まあ、公事なんて糞ったれだっていう含みもあるのか。
十句目。
真白ふ松も樫も鳥の糞
うき世の望絶て鐘聞 芭蕉
松柏の墓所の含みを受けての展開であろう。深い喪失の悲しみの句。
十一句目。
うき世の望絶て鐘聞
痩腕に粟を一臼搗仕舞 芭蕉
粟も玄米同様臼で搗いて精白する。前句を世捨て人として、質素な生活に転じる。
十二句目。
痩腕に粟を一臼搗仕舞
薮入せよとなぶられて泣 野坡
薮入りは旧暦一月十五日と旧暦七月十五日の二回あり、この場合は七月の薮入り。
かなり虐げられていた使用人だったのだろう。「薮入せよ」とは要するに「国に帰れ」ということ。(「国に帰れ」という言葉は今は知らないが、ちょっと前までは田舎から出てきた人に、お前は使えないから出て行け、故郷に帰れという意味で用いられていた。人種差別の言葉ではない。)
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