今日は一日小雨だった。
変死者(病院以外で死んだ人)11人が死後検査してコロナに感染していたという。多くは部屋で死んでいるのが発見されたものだが、中には歩いていて倒れた人もいたという。
熱が出て検査をして欲しくても、まず保健所に電話する段階で電話が繋がらず挫折する人も多い。
医療現場は維持されていても、そこにたどり着けずに死ぬという日本型の医療崩壊が始まっている。
時節柄ユーチューバーを目指そうか
年末ジャンボ一応は買い
それでは「傘に」の巻の続き。
二表。
十九句目。
瓢の煤をはらふ麻種
春の空十方ぐれのときどきと 野坡
「十方(じっぽう)ぐれ」はウィキペディアに、
「選日の一つで、日の干支が甲申(甲子から数えて21番目)から癸巳(同30番目)の間の10日間のことである。
この10日間のうち、十干と十二支の五行が相剋しているものが8日も集中しているため、特別な期間と考えられるようになった。この期間は、天地の気が相剋して、万事うまく行かない凶日とされている。」
とある。(ちなみに今日は癸巳で十方ぐれの最終日になる。)
ただ、コトバンクの「精選版 日本国語大辞典の解説」には、
「① 暦で、甲申(きのえさる)の日から癸巳(みずのとみ)の日までの一〇日間をいう。この間は天地陰陽の気が和合しないで、十方の気がふさがり、何事の相談もまとまりにくく、万事に凶であるという。
※蔗軒日録‐文明一八年(1486)二月九日「今日者世之所謂十方之初日也。舟人所レ忌之日也」
② 空がどんよりと曇っていて暗いこと。転じて、心が重く、暗くふさがること。
※咄本・鹿野武左衛門口伝はなし(1683)下「日しょくか十方ぐれかしかるべしと申ける」
とあり、この句の場合は②で、①の意味への取り成しを期待した句ではないかと思う。
桜の花が咲く頃は花曇になることも多い。
二十句目。
春の空十方ぐれのときどきと
汐干に出もをしむ精進日 芭蕉
忌日に凶日が重なるなら、なおさら殺生を避けなければならない。
二十一句目。
汐干に出もをしむ精進日
駕舁のひとりは酒を嗅もせず 利牛
精進日なので酒も控える。
二十二句目。
駕舁のひとりは酒を嗅もせず
先手揃ゆる宿のとりつき 凉葉
先手(さきて)はコトバンクの「精選版 日本国語大辞典の解説」に、
「① 陣立で、本陣の前にある部隊。また、先頭を進む部隊。先陣。先鋒(せんぽう)。さき。
※嘉吉記(1459‐67頃)享徳三年「一方の先手と頼切たる勝元逐電の上は、今夜の征伐は止にけり」
② 行列などの先頭をつとめる者。先頭を行く供人。
※俳諧・西鶴大句数(1677)一「行龝や道せばからぬ一里塚 三人ならびに先手の者ども」
③ 江戸時代、将軍護衛の役。
※随筆・胆大小心録(1808)一〇八「大田蜀山子、今はおさきての御旗本にめされし也とぞ」
④ 船具。和船の帆柱を起こしたり、倒したりするとき、船首・船尾へ引く綱。柱引。〔和漢船用集(1766)〕」
とある。この場合は②の意味か。
③は先手組のことで、コトバンクの「デジタル大辞泉の解説」に、
「江戸幕府の職名。弓組と鉄砲組とに分かれ、江戸城諸門の警備、将軍外出の際の護衛、また、火付盗賊改(ひつけとうぞくあらため)として江戸市中の巡視などを担当。先手頭のもとに与力(よりき)・同心で組織された。」
とある。
宿場の入口に行列の先頭が到着するとなると、酒を飲んでいる場合ではない。すぐに見に行かなくちゃ。
何たって大名行列はパレードだ。庶民の数少ない娯楽の一つだ。
二十三句目。
先手揃ゆる宿のとりつき
むつかしき苗字に永き名を呼て 芭蕉
先手が名乗りを上げるが、よくわからない苗字にその前後にいろいろなものがくっ付いて長い名前になる。征夷大将軍淳和奨学両院別当源氏長者徳川従一位行右大臣源朝臣家康のように。
二十四句目。
むつかしき苗字に永き名を呼て
まるぐちすゆる鯖のやき物 野坡
「まるぐちすゆる」は『校本芭蕉全集』第五巻の中村注によると、丸ごと尾頭付きで膳に据える」という意味だという。
偉そうな名前を名乗っても所詮は庶民で、いくら尾頭付きでも所詮鯖はは大衆魚。
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