今日は小田原フラワーガーデンとその近くにあるざる菊園に行った。
ざる菊というのはこちらへ来てから知ったもので、ざるを伏せたように丸く仕立てる小菊で、色とりどりのざる菊が見頃を迎えていた。
あと足長茸というのを買った。ナラタケのことで、この前食べた丹沢蕎麦に入っていた。
ナラタケは世界最大の巨大生物とも言われている。山一つが太い菌糸束で繋がっていて巨大な一個体を成すらしい。鯨よりでかい。でも食べる部分は小さなキノコ。
夜は月食。今すでに半分欠けている。
それでは談林十百韻の最後の百韻、「雪おれや」の巻。
発句。
雪おれやむかしに帰る笠の骨 松意
竹の骨のあるのは唐傘だろう。雪の重みで折れてしまうと、ただの竹の棒になる。
脇。
雪おれやむかしに帰る笠の骨
落葉は土にうづむ下駄の歯 一朝
笠は竹に帰り、落葉は土に帰る。
下駄の歯で踏みつけられた落葉は細かく砕けて土へと帰って行く。
第三。
落葉は土にうづむ下駄の歯
はきだめはあたかも軒の山と見て 志計
ごみ捨て場には壊れた下駄の歯などのごみと一緒に、掃き集められた落葉がうずたかく積まれ山のようになっている。
四句目。
はきだめはあたかも軒の山と見て
平太に雲を分る舟人 在色
平太は「ひらた」とルビがあり、ここでは平田船のこと。物資の輸送に用いられる船で、大きな川は平田船、小さな川は高瀬舟が用いられる。
ここではごみを運んでいるのだろう。平田船には小さな屋根のついた小屋があり、その軒端の山になる。
五句目。
平太に雲を分る舟人
浪風もあたりをはらふ御成先 卜尺
御成はコトバンクの「精選版 日本国語大辞典「御成」の解説」に、
「① 宮家、摂家、将軍など貴人が外出することや訪ねて来ることをいう尊敬語。また、神輿(みこし)の渡御についてもいう。おでまし。来臨。おんなり。
※花営三代記‐応永二八年(1421)正月二日「管領へ〈細川右京大夫入道道観〉御成」
② 大事な人・客などがやって来ることを、冗談めかしていう。
※浮世草子・傾城色三味線(1701)大坂「揚屋から人橋かけて、盛砂せぬばかり、追付是へおなりと」
とある。
平田船は大きな船なので貴人が乗ることもあったのだろう。その場合浪風も露払いのように、「おなーりー、おなーりー」と言っているみたいだ。
六句目。
浪風もあたりをはらふ御成先
すかぬやつめが訴状一通 一鉄
いつも波風ばかり立てている嫌な奴。訴えてやると訴状を持って御成先へと向かう。
七句目。
すかぬやつめが訴状一通
新田場人をとまれな今朝の月 松臼
人音稀な。大きな新田には人の姿もなく朝の月が照らしている。
新田開発を廻って訴訟を起こした漁師たちか。
八句目。
新田場人をとまれな今朝の月
小家三つ四つむすぶしら露 雪柴
新田には家が三つ四つ立ち並び、今朝の月に白露を添える。
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