オリンピック最終日ともなると競技の数も少ない。朝は男子マラソンだが、これも期待してなかった。大迫さんの六位はよくやったと思う。

　昼はバスケットボール女子の決勝を見た。これも最後までよくやった。もう一つ自転車の銀メダルがあり、これで日本のメダル数は確定。ホームの強みとはいえ出来過ぎだ。前評判の高かった選手がかなりこけたけど、それを完全に帳消しにするくらいの出来だ。

　個人的に印象に残るベストスリーを挙げるなら、一位サーフィンの五十嵐さん、二位スポーツクライミングの野口さん野中さん、三位がゴルフの稲見さんってところかな。何か銀ばっかりで銀本位制になっているが。

　とりあえずオリンピックは無事に終わった。まあ、コロナ下で満足のいくようなおもてなしができなかったと言っても、言い訳にもならないだろうな。言い訳して「いいわけない」ということで落ちにしておこう。なんせ客様は神様だからね。

　オリンピックがいろいろな問題を抱えていることは確かだ。とにかく一番根本的にあるのは資金の問題だ。オリンピックの開催には金がかかる。一方では国家事業として税金を割き、一方では巨大企業がスポンサーに付くことで、かろうじて開催が可能になる。

　まずはインフラ整備の問題で、競技種目が増え、多様な競技施設が必要となる限り、そろそろ一都市開催が限界に来ているのではないかと思う。世界中の競技を満遍なく行っている国なんてどこにもないと思うから、全種目の競技場のいくつかは赤字となり無駄になる。野球が外されたのもそれが理由だろう。

　おそらく今後のオリンピックは複数地域での開催へ傾いてゆくと思う。今回も競歩とマラソンを札幌でやったが、札幌も決して涼しい所ではない。

　今や世界的に温暖化で夏は猛暑を避けられなくなってきている。パリもロサンゼルスも例外ではない。まあ、1912年ストックホルムオリンピックでも猛暑で死者を出していたから、これは新しい問題ではないが。

　分散開催をネットで繋ぐというのが、これからのオリンピックでは避けられなくなるのではないかと思う。冬の北京オリンピックで代替地開催ということになれば、分散開催も選択肢の一つになるだろう。

　あとは資金の問題だが、今回の東京オリンピックはコロナでの延長も含めて四兆円規模のものとなってしまった。それに加えて旧来の大きな収入源だった放映権が、ネット視聴が増えることで大きな勢力図の変化を起こすことが考えられる。

　筆者も今回はもっぱらネットでの観戦となった。テレビ局がチョイスした特定の競技を日本中がテレビの前で見守るという構図は、今回はかなり崩れたと思うし、一度ネットで見てしまうとあらためて、テレビのアナウンスや解説がこんなにうざいものだったのか、ということに気付かされてしまった。オリンピックの脱テレビ化はこれから不可逆的に進行していくものと思われる。そうなると放映権はテレビ局からIT企業への手へと移って行くのではないかと思う。

　また、一つの考え方として資金のクラウドファンディング化というのも考えていいのではないかと思う。世界の一億人が四万円出せば四兆円規模のオリンピックはスポンサーなしでも開催できる。

　オリンピックは大きな転換点を迎えているのは確かだ。東京が最後のオリンピックなったとしても何ら驚かない。存続のためには、従来のオリンピックのシステムを根本的に変えてゆく必要があるのは確かだろう。

　オリンピックの分散開催、ネット化、クラウドファンディング化はこれからオリンピックが生き残るための最後の戦略になるといっても良いのではないかと思う。

　そういうわけで夢のオリンピックは終り、鈴呂屋俳話も明日からは平常運転に戻ろうと思う。またパラリンピックが始まったら、その時はその時で考えようと思う。

　笑ふべし泣くべしわが朝顔の凋む時　　芭蕉