2021年8月23日月曜日

 横浜市長選は小此木さんが石破グループで福田さんが麻生派で、つまり自民党の主流派は候補者を立てずに自由投票とした。最初から勝ちに行く気がなかったと見るのが良いだろう。事実上菅降ろしに同意したということだ。
 この自民党の主流派が九月の総裁選にどう動くのか。何か隠し玉はあるのか。それとも次の衆議院選挙に負けることで、党内の勢力図を入れ替える(反主流派潰し)という手に出るのか。いずれにせよ、アベノミクスの栄光を早く捨てられるかどうかが鍵だ。
 多分左翼とマス護美がいまだに安倍と菅の藁人形を叩いてるうちに、水面下で動いていると思う。ただ、それが九月に間に合わなければ、一度野に下るという選択もあるかもしれない。
 山中さんはワクチンの効果についてはよくわかっている人だから、そっちの方は大丈夫だろうけど、全員PCR検査とか、陽性者全員隔離とかしようとして医療現場を混乱させる恐れはある。あまり頑張らずに適当にやってほしい。
 ワクチンと言えばインドでDNAワクチンが承認され、台湾では組換えタンパク質ワクチンが承認された。DNAワクチンは日本ではアンジェスが開発中で、組換えタンパク質ワクチンは武田ノヴァヴァックスや塩野義製薬が手掛けている。国産ワクチンの承認は来年くらいにはあるのか。
 多少遅くなっても世界は二百億回分のワクチンを待っている。頑張れ。

 それでは元禄七年秋の俳諧の続きで、「松茸や(都)」の巻の翌日の八月二十四日の「つぶつぶと」の巻を読んでみようと思う。
 発句は、

 つぶつぶと掃木をもるる榎実哉  望翠

 エノキの実は直径五ミリくらいの丸いつぶつぶとした実で、これが落ちると小さくて、竹箒のような荒い庭掃き箒だと漏れてしまう。
 脇。

   つぶつぶと掃木をもるる榎実哉
 竹のはづれを初あらし吹     惟然

 竹は掃木の縁で、ここでは庭掃除の背景となる竹林であろう。竹林のはずれの庭では初秋の台風風が吹く。
 第三。

   竹のはづれを初あらし吹
 朝月に鶏さきへ尾をふりて    土芳

 初嵐の庭には鶏がいる。鶏というと朝なので、朝の月を添える。

季語は「月」で秋、天象。「鶏」は鳥類。
 四句目。

   朝月に鶏さきへ尾をふりて
 すればするほど豆腐売レ切    雪芝

 「すればするほど」は豆腐作りをすればするほどで、朝の豆腐はよく売れる。
 五句目。

   すればするほど豆腐売レ切
 大八の通りかねたる狭小路    猿雖

 大八車の入れないような小さな路地に売に行ったほうが、豆腐はよく売れる。
 六句目。

   大八の通りかねたる狭小路
 師走の顔に編笠も着ず      芭蕉

 狭すぎて編笠も引っかかってしまうような狭小路ということか。体を横にして通らなくてはなるまい。
 七句目。

   師走の顔に編笠も着ず
 痩ながら水仙ひらく川おもて   卓袋

 痩せた乞食僧か。川表は堤防の皮の方の斜面で、僧はそれを見ながら川の水仙を見て歩く。師走だというのに笠もなくて寒そうだ。
 八句目。

   痩ながら水仙ひらく川おもて
 野中へ牛を綱ほどきやる     九節

 前句の痩せた人物を牧童とし、牛を放牧する。
 九句目。

   野中へ牛を綱ほどきやる
 嫁入の来て賑かな門まはり    雪芝

 前句を婚資の牛としたか。
 十句目。

   嫁入の来て賑かな門まはり
 杖と草履を預りて置       望翠

 結婚式に来た人の杖と草履を門の所で預かる。
 十一句目。

   杖と草履を預りて置
 一くらい気色立たる月夜影    惟然

 「気色立(けしきだつ)」はコトバンクの「精選版 日本国語大辞典「気色立」の解説」に、

 「〘自タ五(四)〙 (「だつ」は接尾語)
  ① きざしがみえる。発現のけはいが見える。
  ※源氏(1001‐14頃)賢木「初時雨いつしかとけしきだつに」
  ※徒然草(1331頃)一九「やや春ふかく霞みわたりて、花もやうやうけしきだつほどこそあれ」
  ② 懐妊、出産の徴候をみせる。
  ※栄花(1028‐92頃)様々のよろこび「かかる程に、この左京大夫殿の御上、けしきだちて悩しうおぼしたれば」
  ③ 心のうちを顔色やそぶりに示す。意中を表わす。
  ※源氏(1001‐14頃)明石「宮この人もたたなるよりは言ひしにたがふと思さむも心恥かしう思さるれば、けしきたち給ふことなし」
  ④ 気どる。改まった様子をみせる。様子ぶる。
  ※能因本枕(10C終)一〇四「題出して女房に歌よませ給へば皆けしきたちゆるがしいだすに」
  ⑤ 物音や話し声がして活気づく。
  ※すみだ川(1909)〈永井荷風〉六「夢中になって声をかける見物人のみならず場中一体が気色立(ケシキダ)つ」

とある。
 「一(ひと)くらい」はコトバンクの「精選版 日本国語大辞典「各別・格別」の解説」に、

 「浄瑠璃・平家女護島(1719)四「互に心おく女中、廿三四の色ざかり、町の風とは一位(ひとくらゐ)、顔も姿も各別(カクベツ)に」

という用例がある。
 いつもよりも改まった感じのする月影、あるいは月見の席ということか。杖と草履を預けて身なりを正す。
 十二句目。

   一くらい気色立たる月夜影
 鱸釣なり鎌倉の浦        猿雖

 格式の高い月見の宴には松江鱸魚が欲しいということで、鎌倉に鱸(すずき)を釣りに行く。実際は松江鱸魚はヤマノカミのことだという。同じスズキ目ではある。

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