2020年7月8日水曜日

 そういえばアメリカの方からのニュースだとコロナ対策には手袋とワイパーが欠かせないというようなことが書いてあった。日本では一時期手袋が売り切れになったりはしたが、長くは続かなかったし、今でも手袋をしている人はほとんど見ない。ワイパーのこともあまり聞かない。
 あと、ずっと家に引き籠ってた女性が、たった一度感染者の運んできた荷物を家に入れたために感染したというニュースもあった。ウイルスのついた荷物をついうっかり直接手で触ってしまったためだという話だったが、日本ではそれ以前に玄関から外に出た時点で、感染者の残したエアロゾルを吸ったんではないかと言われていた。
 接触の場合口や鼻の回りに着いたとしても、そこから中にはなかなか入りにくい。それに対してエアロゾルを吸った場合、ダイレクトに肺に達するから危険が大きい。
 日本では早くからエアロゾル感染のことは知られていたが、建前上エアロゾルという言葉は使わず、飛沫感染の飛沫が長く空気中を漂うというふうに説明されてきた。そこから部屋の喚起を頻繁に行うようにと指導されてきた。
 ライブハウス(これは和製英語でクラブハウスと言ったほうがいいのか)やスポーツジムが真っ先に自粛の対象となったのも、エアロゾル感染が早くから暗黙の内に認められていたからだと思う。
 もしアメリカではWHOの言うことをそのまま信じてエアロゾル対策を何もせず、接触による感染ばかりに神経質になっていたとしたら、トランプさんが怒るのも頷ける。
 それでは「早苗舟」の巻の続き。

 四十三句目。

   師走比丘尼の諷の寒さよ
 餅搗の臼を年々買かえて     利牛

 一年に一度しか使わない臼だから、どこかへ仕舞っておいて黴が生えたり腐ったりして、結局毎年買い換えているということか。
 ただでさえ年末はお金が出て行くのに臼を買ったりしていては、いい正月も迎えられない。
 四十四句目。

   餅搗の臼を年々買かえて
 天満の状をまた忘れけり     野坡

 大阪の天満(てんま)というと天満青物市場があり栄えた場所だった。
 臼を駄目にするような人だから、手紙もうっかり忘れる、という位付けであろう。
 四十五句目。

   天満の状をまた忘れけり
 広袖をうへにひつぱる舩の者   孤屋

 「広袖」はコトバンクの「デジタル大辞泉の解説」に、

 「1 袖口の下を縫い合わせない袖。長襦袢(ながジュバン)・丹前・夜着などに用いる。平袖(ひらそで)。
  2 鎧(よろい)の袖の一種。下方が広くなったもの。」

とある。広袖はこれ以外にも神主や僧が着る古風な衣裳に見られる。
 あるいは天満の状を天満宮の書状として、うっかり者の神官にしたのかもしれない。
 広袖を上に引っ張るのは、袂に状が入ってないかどうか調べるためであろう。
 「舩」は「船」に同じ。
 四十六句目。

   広袖をうへにひつぱる舩の者
 むく起にして参る観音      利牛

 「むく起」はむっくり起きること。
 観音様にお参りに行くのだから、前句の広袖は巡礼者だったか。舟の上で寝てしまったか、船の者が袖を引っ張って起す。

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