2020年3月2日月曜日

 学校が休みになるせいか、家族連れが買いだめに走ってるのか、街はいつもよりも賑わっている。
 トイレットペーパーもなければ困るもので、一部の人の買占めで店から消えても探さないわけにはいかない。悪いのは最初に買い占めた人で、後から並んでいる人を笑ってはいけない。
 渋谷へKorpiklaani Japan Tour 2020を見に行った。コンサートの自粛が報じられる中で、フィンランドからKorpiklaani、イングランドからSkyclad、地球の裏側アルゼンチンからSkiltron、埼玉からAllegiance Reignがはるばる来てくれた。コロナを恐れぬ君たちの勇姿は忘れない。
 Allegiance Reignは侍姿で、日本語で「えい、えい、おー」と歌っていた。Skiltronは戦士姿で勇ましく、Skycladは村人の姿でこれがイギリスのセレブレーションかとばかりに盛り上がった。
 Korpiklaaniは戦士でも村人でもなく、道化師?ボーカルはなんだか妙なデジャブ感があったが‥‥わかった、ムッシュかまやつだ。あと、ドワーフがいた。
 それでは「口まねや」の巻の続き。

 二十七句目。

   あかり窓より手をもしめつつ
 此人の此病をばみまはれて    宗因

 中村注は『論語』「雍也」を本説とする。

 「伯牛有疾、子問之、自牖執其手、曰、亡之、命矣夫、斯人也、而有斯疾也、斯人也、而有斯疾也。」

の「自扁孰其手(牖よりその手を執り)」が前句になる。「牖」は漢字ペディアに「まど。れんじまど。格子をはめた窓。」とある。それに「斯人也、而有斯疾也(この人にしてこの病あるや)」を付ける。
 二十八句目。

   此人の此病をばみまはれて
 有馬の状は書つくしてよ     宗因

 前句の病を恋の病として有馬の湯を付ける。

 あい思わぬ人を思うぞ病なる
     なにか有馬の湯へも行くべき
              よみ人しらず(古今和歌六帖)

の歌もある。
 後に草津節で、「お医者様でも草津の湯でも惚れた病は治りゃせぬ」と唄われる。草津温泉は戦国時代以降なので、古代には知られてなかった。
 二十九句目。

   有馬の状は書つくしてよ
 うちとけぬ王子のゑぞしらぬ   宗因

 有馬といえば有間皇子(ありまのみこ)。とはいえ、ここでは単に言葉の縁で登場するだけで、打ち解けぬ王子への恋文を有馬の状と洒落てみただけのもの。
 三十句目。

   うちとけぬ王子のゑぞしらぬ
 伯父甥とても油断なさるな    宗因

 この場合の王子は大海人皇子(おおあまのみこ)と大友皇子(おおとものみこ)のことか。
 天智天皇の弟の大海人皇子と息子の大友皇子とが争い、大友皇子を滅ぼした。世に壬申の乱という。
 三十一句目。

   伯父甥とても油断なさるな
 帰るさの道にかけ置狐わな    宗因

 狂言の『釣狐(つりぎつね)』の本説に転じる。
 『釣狐』のあらすじは、ウィキペディアには、

 「猟師に一族をみな釣り取られた老狐が、猟師の伯父の白蔵主という僧に化けて猟師のもとへ行く。白蔵主は妖狐玉藻の前の伝説を用いて狐の祟りの恐ろしさを説き、猟師に狐釣りをやめさせる。その帰路、猟師が捨てた狐釣りの罠の餌である鼠の油揚げを見つけ、遂にその誘惑に負けてしまい、化け衣装を脱ぎ身軽になって出直そうとする。それに気付いた猟師は罠を仕掛けて待ち受ける。本性を現して戻って来た狐が罠にかかるが‥‥」

とある。
 三十二句目。

   帰るさの道にかけ置狐わな
 古き内裏のつゐひちの下     宗因

 「つゐひち」は築地(ついじ)のことだという。築地はコトバンクの「日本大百科全書(ニッポニカ)の解説」に、

 「泥土を築き固めた土手のような垣の上部を、瓦(かわら)や板で葺(ふ)いた土塀。築垣(ついがき)ともいう。古代から宮城、寺院、邸宅などの周囲につくられた。寄柱(よせばしら)を立て、筋違(すじかい)、貫(ぬき)を入れたものと、柱などのないものがある。現存する最古の築地としては、法隆寺に鎌倉中期のものと思われる西院(さいいん)大垣などがあり、国の重要文化財に指定されている。[吉田早苗]」

とある。
 古都も荒れ果てて、今では狐の棲む里になっている。

0 件のコメント:

コメントを投稿