今年の花見は自粛するようにとのお触れも出ているようだけど、まあ人の群がる所は避けて、親しい間だけで少人数で、という方向へ行くのかな。ベンチを封鎖された所は、歩きながらビール片手にというのもありかな。
戦争でも震災でも途絶えなかった日本の伝統だし、何とかしたいものだね。
それでは「口まねや」の続き。少しづつ、ゆっくりと。
四十一句目。
やれ追剥といふもいはれず
軍みてこしらゆる間に矢の使 宗因
「矢の使」はコトバンクの「精選版 日本国語大辞典の解説」に、
「頻繁(ひんぱん)な催促の使い。また、至急を告げる使者。〔俳諧・毛吹草(1638)〕
※仮名草子・是楽物語(1655‐58)上「此事をききて、やのつかひをたてたりけるこそ難義なれ」
とある。
中村注では「こしらゆる」は腹ごしらえのことだという。単純に敵軍が見えて我軍も戦いの準備にとも取れる。
とにかく至急を告げる使者がやってきたものの、敵軍が迫ってるのに追剥の報告なんて小さすぎて、そりゃあ言えないよな。
四十二句目。
軍みてこしらゆる間に矢の使
舟に扇をもつてひらいた 宗因
これは那須与一の物語。わかりやすい。「使(つかひ)」を「番(つがひ)」と読み替えたか。
四十三句目。
舟に扇をもつてひらいた
花にふくこちへまかせとすくひ網 宗因
「すくひ網」は袋状の網で、これを用いて小型の船で小魚や小海老などを掬い取る。
花に東風(こち)の吹く頃はイカナゴ漁の季節で、「こちにまかせろ」とばかりに掬い網を投げる。この掬い網が二本の棒の間に網を張った扇のような形をしていた。
四十四句目。
花にふくこちへまかせとすくひ網
霞の衣尻からげして 宗因
「尻からげ」は尻端折りのことで、コトバンクの「デジタル大辞泉の解説」に、
「着物の裾を外側に折り上げて、その端を帯に挟むこと。しりっぱしょり。しりからげ。」
とある。
『新撰犬筑波集』の、
霞の衣すそは濡れけり
佐保姫の春立ちながら尿(しと)をして
を髣髴させるが、ここではシモネタではなく尻からげして裾に東風で散った桜の花びらを集めている、ちょっと可愛い仕草で、それで足が見えてエロチックな趣向に変えている。
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