朝は雨降ってあとは曇り。
トランプさんだけでなくコロナの感染リスクは世界の影響力の大きい人たちに等しく存在している。
何が起こるかわからないという不安の気分にさせてくれる。世界は本当に大丈夫なのだろうか。
まあ、ともあれ「月見する」の巻の続き。
二表。
十九句目。
八ツさがりより春の吹降
雁帰る白根に雲のひろがりて 芭蕉
雲が広がって雨になる。これは遣り句。
二十句目。
雁帰る白根に雲のひろがりて
うちのる馬にすくむ襟巻 尚白
前句の「白根」を受けて、まだ雪残る山越えの旅とし、寒さで急遽馬に乗ることにして、首に布を巻いて凍える寒さをしのぐ。
二十一句目。
うちのる馬にすくむ襟巻
商人の腰に指たる綿秤 芭蕉
「商人の腰に指たる」と来て帯刀してるのかと思わせておいて、綿秤で落ちにする。
軽くてかさのある物を量るため、綿秤は棹が長く、腰に差していると長刀かと見誤る。
二十二句目。
商人の腰に指たる綿秤
物よくしやべるいわらじの貌 尚白
「いわらじ」はコトバンクの「大辞林 第三版の解説」に、
「〔「いえわらし(家童子)」の転とも、「いえあるじ(家主)」の転とも〕
農家の主婦。 「わめく声に出女ども、-もろとも表に出づる/浄瑠璃・丹波与作 中」 〔歴史的仮名遣い「いわらじ」か「いはらじ」か未詳〕」
とある。
綿農家のところに綿商人がやってくると、そこの主婦がおしゃべりでなかなか綿を出してくれない。秤はいつまでも腰に差したまま。
二十三句目。
物よくしやべるいわらじの貌
蒜の香のよりもそはれぬ恋をして 芭蕉
これは『源氏物語』帚木巻のニンニク女のことだろう。藤式部(とうしきぶ)の丞の昔付き合ってた女で博士の娘だが、熱病でニンニクを食べていて、その匂いに辟易して逃げ帰ったという話で、筆者は紫式部自身の自虐ネタではないかと思っている。
その時の、
逢ふことのよをしへだてぬなかならば
ひるまもなにかまばゆからまし
(夜ごとに愛し合ってる仲ならば
昼(蒜)でもなんら恥ずかしくない)
の歌が思い浮かぶ。
ここでは相手が田舎の人妻になってしまうが。
二十四句目。
蒜の香のよりもそはれぬ恋をして
暑気によはる水無月の蚊屋 尚白
ニンニクは夏バテ防止になる。
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