昨日は月と火星が近くに見えたが今日は曇り。
まあ左翼の連中も選挙で勝つ当てがなく、行政府はもとより立法府でも力がないもんだから、司法府での影響力を守るのに必死なんだろうな。黒川前検事長の時はあんなチートまでしてツイッターデモをやって、まあ結局あれで安倍政権が折れてしまったことが敗着となったが。
菅さんもその轍は踏むまいとの覚悟でチャレンジしているんだろうな。憲法を不磨の法典として改憲論議そのものをタブー視する日本の憲法学者も異常で何とかしなくてはいけないんだろうけど。
それでは「月見する」の巻の続き。
十三句目。
ねぶと踏れてわかれ侘つつ
月の前おさへてしゐる小屋の宿 尚白
「おさへて」はこの場合は下に見るという意味か。小屋の宿もよくわからないが、単に粗末な宿屋という意味か、あるいは遊女・若衆のいる芝居小屋か。
十四句目。
月の前おさへてしゐる小屋の宿
桔梗かるかや夜すがらの虫 芭蕉
月明りの指す宿は小屋でも風流なもので、桔梗に屋根葺きに利用される茅に一晩中鳴く虫の声が聞こえる。かるかやが俳言になる。
十五句目。
桔梗かるかや夜すがらの虫
位散る髪は黄色に秋暮て 尚白
身分も下がり、抜け落ちた髪も黄色く、秋の終わろうとする。秋の景に老いの悲しさを付ける。
十六句目。
位散る髪は黄色に秋暮て
大工の損をいのる迁宮 芭蕉
遷宮はウィキペディアによると、「天災・人災により予定外の本殿の修繕・建て替えが必要になった場合に仮の建物に移す遷宮を仮殿遷宮、予定外に本殿を新たに建てた上で正遷宮と同様の儀式を行ない移す遷宮を臨時遷宮と区別する場合がある。」
大工の損を祈るというとどういう場面があるのだろうか。本地の寺との土地争いで遷宮を余儀なくされた場合なら、訴訟に勝って遷宮をしなくて済むことを祈るというのは有りかもしれない。老いた神主さんで、今更遷宮はつらいし、頑固でとことん争おうということか。
十七句目。
大工の損をいのる迁宮
三石の猿楽やとふ花ざかり 尚白
コトバンクの扶持のところの「世界大百科事典 第2版の解説」に、「武士1人1日の標準生計費用を米5合と算定して,1ヵ月に1斗5升,1年間に1石8斗,俵に直して米5俵を支給することを一人(いちにん)扶持と呼び,扶持米支給の単位とした。」とあり、三石はこれだと二人扶持にも満たない。元禄七年の、
五人ぶち取てしだるる柳かな 野坡
の句があったが、それよりも少ない。売れない猿楽師(能楽師)を呼んできて花見の座で舞わせる神主さんは、大工の賃金も安く買いたたくようなケチな男だったのだろう。
十八句目。
三石の猿楽やとふ花ざかり
八ツさがりより春の吹降 芭蕉
吹降(ふきぶり)はコトバンクの「精選版 日本国語大辞典の解説」に、
「〘名〙 強い風といっしょに雨が降ること。また、その風雨。
※俳諧・焦尾琴(1701)風「吹降の合羽にそよぐ御祓哉〈其角〉」
八ツ下がりは未の下刻で二時から三時で、春の天気は変わりやすく、急に雨風が強くなる。
吹降は笛を吹くことに掛けて、猿楽師が送り笛を吹いて、いよいよシテの登場でこれから盛り上がるというときに急に雨になる。
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