今日が一応満月だが、一日雨が降った。
それでは「一泊り」の巻の続き。
十一句目。
ほそき声してぬき菜呼入レ
蕣にすずめのさむく成にけり 残夜
前句の「ほそき声」を雀の声とする。蕣(あさがお)が咲いてスズメも寒そうに細い声で鳴く季節となり、とここまでを気候とし、ぬき菜売りを呼び入れるとする。
十二句目。
蕣にすずめのさむく成にけり
月見ありきし旅の装束 白之
「蕣にすずめ」を装束の柄としたか。女性の装束であろう。
十三句目。
月見ありきし旅の装束
さまざまの貝ひろふたる布袋 芭蕉
『奥の細道』の旅での敦賀の記憶だろう。
潮染むるますほの小貝拾ふとて
色の浜とは言ふにはあるらん
西行法師
の歌で知られていて、芭蕉もここで、
寂しさや須磨にかちたる浜の秋 芭蕉
波の間や小貝にまじる萩の塵 同
の句を詠んでいる。
十四句目。
さまざまの貝ひろふたる布袋
地獄絵をかく様のあはれさ 路通
貝は胡粉の原料となる。
白絵具を作るために袋一杯に貝をたくさん集めてきて、その姿が「布袋」という文字からお目出度くふくよかな布袋さんを連想させるが、その姿で地獄絵を描いているとミスマッチでなんとも哀れだ。
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