2020年9月18日金曜日

  いつの間にか旧暦では八月になっていた。今日は八月二日。
 「あなむざんやな」の巻の続き。

 二表。
 十九句目。

   去年の軍の骨は白暴
 やぶ入の嫁や送らむけふの雨    芭蕉

 藪入りは奉公人だけでなく、嫁も実家に帰ることができた。夫が同伴する地域もあったという。
 江戸時代には奉公人の帰省の日になったが、本来は嫁が実家に帰る日だったという説もあり、前句を戦国時代として、藪入りの古い形を付けたのかもしれない。
 二十句目。

   やぶ入の嫁や送らむけふの雨
 霞にほひの髪洗ふころ       亨子

 親元に帰るというので、当時はめったに洗わなかった髪を洗う。
 二十一句目。

   霞にほひの髪洗ふころ
 うつくしき佛を御所に賜て     皷蟾

 思いがけぬところで仏像が発見されると、吉祥ということで御所に献上されることもあったのだろう。前句の「髪洗ふころ」を正月として、目出度いものに目出度いものを重ねたか。
 二十二句目。

   うつくしき佛を御所に賜て
 つづけてかちし囲碁の仕合     芭蕉

 御所を碁所に取り成したか。「碁所」は一般的には「ごどころ」だが、「ごしょ」と読むこともあったのだろう。

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