マイケル・ヨン著の『決定版 慰安婦の真実』に、
「ナチスの戦時残虐行為について証明する記録や証拠は、一立方マイル四方の空間を埋め尽くすほど存在します。世界で最も速読できる人でも、一生かかっても読みつくせないほどです。」
と書いてあったけど、高須さんは読まなかったのかな。
慰安婦に関して言えば、この本は軍の直接関与した婦女の強制連行は数えるほどしかなく、すべて戦犯として裁かれたということを言っているだけで、売春婦がどのようにして集められたかについてはほとんど触れていない。
まあ、実際それは裏社会のことで調査も難しく、推定無罪といったところか。
まあ、それはともかく、「鰒の非」の巻の続き。
十一句目。
奈良へむぐらの内にこそあれ
掛渡す小袖の黴をもみ落し 此筋
「掛渡す小袖」は『校本芭蕉全集』第五巻の注に「小袖に風を入れるためにずらりとかけひろげてあるさま」とある。
葎に埋もれた奈良の旧家では着ることもない小袖に黴が生えてたりする。
十二句目。
掛渡す小袖の黴をもみ落し
金の団扇を閨のなぐさみ 千川
金の団扇とは何とも豪華だが、使う人は上臈か。これは位付け。
十三句目。
金の団扇を閨のなぐさみ
見るうちに源氏一部のしのばしく 凉葉
「一部」は一部分ではなく一揃いをいう。全巻セットのことか。あるいは絵巻物か、金団扇に描かれた源氏物語五十四帖のセットか。
十四句目。
見るうちに源氏一部のしのばしく
捨て浮世のやすき僧正 宗波
源氏物語を仏教に結びつける考え方は昔からあった。源氏物語を読んで発心し僧となったということか。
十五句目。
捨て浮世のやすき僧正
出来合も伊勢の料理は麁相にて 芭蕉
これは西行の俤か。
神風に心やすくぞまかせつる
桜の宮の花のさかりを
西行法師
の歌もある。
伊勢というと伊勢海老に鮑にサザエにトコブシと海の幸は豊富だが、出家して殺生を嫌う身には食うものがない。
十六句目。
出来合も伊勢の料理は麁相にて
裸足でありく内庭の砂 此筋
「内庭」は「坪庭」ともいう。コトバンクの「坪庭」の「日本大百科全書(ニッポニカ)の解説」にはこうある。
「中庭のことで、今日では「坪庭」の字が多く用いられる。壺には宮中の通り路の意味があり、桐(きり)壺、萩(はぎ)壺、梅壺などのように、キリ、ハギ、ウメなどの植栽が主役になった、建物と建物のジョイント空間を意味した。平安時代からの御所の壺庭は約四、五百坪あって広い空間だが、後の「坪」または「局(つぼ)」は「搾(つぼ)かなる」の意味であり、くぎられた場所とか、周囲を仕切った所をさし、中世以降はごく狭い庭をさすようになった。この狭い限られた空間にも各種の意匠を施すようになり、茶庭と相互に影響しあって、近世以降は町家(まちや)の庭として独自の発展を遂げた。[重森完途]」
この場合は町屋の通り庭のことか。料理も麁相なら庭も砂を敷いただけ
の麁相なもの。響き付けか。
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