昨日は飯舘村の虎捕山津見神社を見た後、南相馬市小高区のフルハウスで行われた角田光代さんの源氏物語の朗読会に行った。
正直まだ角田源氏は読んでないし、その内容については今は何も言えない。ただ、明石帰りになってしまった私としては、その翻訳作業の大変さは理解できる。自分のはあくまで趣味の訳だが、商品として出版するとなると、また別の苦労もある。監修の人が付いているから、ほぼ今の定説に基づいた源氏物語の無難な解釈で訳されていることは想像できる。それをどうわかりやすく面白く盛り上げるかが苦心するところだろう。
面白いと思ったのは、いくつかの有名な訳の書き出し部分を比較した時のアーサー・ウェイリー訳だった。そのとき聞いた日本語訳への再訳は正確に思い出せないので、ネットで調べたら英語のが出てきた。
"At the Court of an Emperor(he lived in matters not when)there was among the many gentlewomen of the Wardrobe and Chamber one,
そうこの「he lived in matters not when」の部分だ。「彼がいつ生きたかは問題でない」という突き放した言い方が面白かった。これがこやん源氏の「何天皇の時代だったかなんてのはどうでもいいことです。」とちょっと似てるかななんて、まあそれこそどうでもいいことだけど。
私の場合は単に当時はまってた竜騎士07さんの『うみねこのなく頃に』の影響で、「いずれの御時にか」が、これは本当にあった話ではなくあくまで虚構だという宣言の役割もあったのではないかと思って、そう訳しただけだった。
こやん源氏はできる限り北村季吟の『湖月抄』に基づき、あえて国学や近代の解釈と違う源氏を訳そうと試みたもので、一種の実験というか遊びの訳なので、角田さんには見られたくない。
いつもはラノベばかりで現代文学をほとんど読まない私としては、正直フルハウスはアウェーな感じだったが、並んでる本の中に白鳥士郎さんの『りゅうおうのおしごと』があったのでちょっと嬉しかった。
店主の柳美里さんも実物をみる事が出来た。横浜からでも片道四時間の遠い所だけど、北海道から来たという人もいて、あらためてその集客力の凄さに驚いた。この店が福島の復興に寄与することを願わずにはいられない。
行きは四時間、帰りは六時間、ずっと運転して疲れたのか、今日は少々調子が悪い。そういうわけで「花で候」の巻の続きは明日の心だ。
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