2018年5月14日月曜日

 今日は旧暦で三月二十九日。今日で春は終わり。行く春やー、だ。えーとそのあとの下七五は何にしようかなー。薔薇の花まで行きそうな。

 四十五句目

   はぎとられたる今朝のきぬぎぬ
 色好みばくち迄をや打ぬらん   宗因

 身ぐるみ剝がれるといったら、やはり博打。これで酒飲みなら飲む・打つ・買う三拍子揃うというところだが。
 まあ、酒も悪酔いしたりアル中になったりというリスクが有る所をチャレンジするのだから、一種の博打かもしれないし、女も一種の博打なのかもしれない。

 四十六句目

   色好みばくち迄をや打ぬらん
 つねにうそうそ月の夜ありき   宗因

 「うそうそ」は虚々で、心ここにあらずの虚(うつ)ろな感じを言う。「ありき」は「歩き」。
 月夜とはいえ女や金のことが頭からはなれず、いつも心ここにあらず。

 四十七句目

   つねにうそうそ月の夜ありき
 小男鹿と相腹中の妻ごひに    宗因

 「相腹中(あひふくちう)」は同じ気持ちのという意味。気分は小男鹿(さをしか)というところか。

 四十八句目

   小男鹿と相腹中の妻ごひに
 露ときえばや野でも山でも    宗因

 『伊勢物語』の、

 白玉か何ぞと人の問ひし時
     つゆとこたへて消えなましものを
               在原業平朝臣

の下句の情に、ものが小男鹿だけに「野でも山でも」と付ける。

 四十九句目

   露ときえばや野でも山でも
 花とおもふぬしのあるをも盗出 宗因

 前句の「消えばや」を姿を消すこと、ランナウェイに取り成す。
 綺麗な花は人のものでもかまわないと盗み出し、ドロンする。あとは野となれ山となれ。
 花の定座で春に転じる。

 五十句目

   花とおもふぬしのあるをも盗出
 さほ姫ごぜと見まゐらせつる  宗因

 「こぜ」は御前。「ん」は省略されることが多い。「念仏」をねぶつと言ったりするようなもの。
 垂仁天皇の后の佐保姫(狭穂姫)は兄の沙本毘古王に盗まれたが。

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