今年はコロナ明けの行動制限のないハローウィン。盛り上がってほしいね。
十月と言えば昔は恵比須講。恵比須様が神々の留守を預かったが今は、留守番はジャック・オ・ランタン神無月。
今の日本はあまりにも平和すぎるけど、中国が動けば一気に第三次世界大戦も十分ありうる。貴重な時間なんだなと思う。
それでは「夜も明ば」の巻の続き、挙句まで。
名残裏、九十三句目。
波も色なる蛤の露
状箱のかざしにさせる萩が花 一鉄
海辺からの便りが届き、その状箱に萩の花が添えてある。前句は手紙の内容の比喩になる。
蛤に「かざしにさせる」は、
山吹をかざしにさせばはまぐりを
井出のわたりのものと見るかな
源俊頼(夫木抄)
の歌がある。前句が秋なので山吹を萩に変える。
九十四句目。
状箱のかざしにさせる萩が花
ようこそきたれ荻の上風 松臼
荻の上風に萩は、
秋は猶夕間暮れこそただならね
荻の上風萩の下露
藤原義孝(和漢朗詠集)
の歌があり、決まり文句になっている。
状箱の萩を見てならば荻の上風も来い、ということになる。
九十五句目。
ようこそきたれ荻の上風
夕暮の空さだめなき約束に 在色
秋の空の変わりやすさに約束も忘れられて、と恋に転じる。
色変わる心の秋の時しもあれ
身に染む暮の荻の上風
俊成女(新後撰集)
の心か。
九十六句目。
夕暮の空さだめなき約束に
日もかさなりてはらむと云か 卜尺
結婚の約束も果たされないままでも、ずるずる長く付き合っていると子供ができてしまう。
「か」は「かな」と同じ。
九十七句目。
日もかさなりてはらむと云か
そちに是を旅宿の名残小脇指 一朝
旅宿の遊女を呼んだところ、妊娠していることを言われて、哀れに思ってこれでも売って何かの足しにと小脇指を置いて行く。
九十八句目。
そちに是を旅宿の名残小脇指
落られまいぞ尋常に死ね 松意
追手がすぐそばまで迫っていて、これ以上逃げられないと、ここで腹を切る覚悟を決める。
ずっとお供をしてくれた者がいたのだろう。小脇指を渡し、共に死んでくれというところか。
九十九句目。
落られまいぞ尋常に死ね
同じくは花に対して酔たふれ 雪柴
これが最後と花の下で宴をする。
挙句。
同じくは花に対して酔たふれ
麁相に鐘を春の日はまだ 志計
麁相は後先考えずに飲めるだけ飲んでしまったことを指す。
花の下で酔いつぶれてみんな倒れてしまったから、今日はこれまでとまだ早いけど入相の鐘を鳴らす。
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