今日は十三夜。雲の合間に少し見えた。
日本にも鈴木宗男みたいなのがいるが、アメリカにもイーロン・マスクがいる。ツイッターやめようかな。
仮に地球に国境がなくなったとしても、様々な民族、様々な文化の人達がそれぞれの価値観や生活スタイルを守ろうとするのは当然のことだし、同一地域に二つのルールが共存したら当然ながら混乱する。車が右を走っても左を走っても自由だというようなものだ。それぞれの文化の異なるルールを共存させることはできない。そこには自ずと自然の国境が生じる。
こうした様々な異なる価値観を持つ人たちが住む広い地球を、一つの政府が統治するなんて、自ずと無理がある。かといってそれぞれの独自性を認めれば、結局今と変わらないまとまりのない状態になる。
世界が一つになるというのは、巨大な中央集権国家が支配するということだ。そうでないなら、たとえ国境がなくなっても世界は一つにはならない。ただ様々な価値観の異なる集団が何の障壁もなく民族大移動できる状態になるだけだ。それは近代以前の世界のように衝突し合うだろう。
ディストピアか戦国時代かという究極の選択に迫られる。
それでは「髪ゆひや」の巻の続き、挙句まで。
名残裏
九十三句目
岩井の水にかしぐ斎米
すりこぎの松のひびきに如是我聞 卜尺
如是我聞はコトバンクの「精選版 日本国語大辞典「如是我聞」の解説」に、
「〘名〙 (このように私は聞いたの意) 仏語。経の冒頭に書かれていることば。経典が編集された時、その経が間違いなく釈迦のことばであることを示そうとしたことば。また、聞いたことを信じて疑わないことを示したことば。
※今昔(1120頃か)四「然れば、阿難、礼盤に昇て如是我聞と云ふ」 〔仏地経論‐一〕」
とある。
松風ではなく松の木でできた擂粉木の音に仏道を確信し、岩井の水で斎米を炊く生活に入った。
九十四句目
すりこぎの松のひびきに如是我聞
たたけばさとるせんだく衣 雪柴
擂粉木を砧打ちの槌の代りにして叩けば洗濯物もたちまち仏道を悟ったかのようにしゃんとなる。
九十五句目
たたけばさとるせんだく衣
おもはくが故人なからん旅の空 在色
「おもはく」はコトバンクの「精選版 日本国語大辞典「思わく」の解説」に、
「① 心の中で考えている事柄。思うところ。
(イ) (━する) こうだ、こうしようなどと考えている点。また、そう考えること。意図。
※狭衣物語(1069‐77頃か)四「打たれじと用意したるゐずまひ・をもはくどもも、おのおのをかしう見るを」
※洒落本・蕩子筌枉解(1770)絶句「この女郎の一客をおもわくはめて身うけさせ」
(ロ) こうなるだろうという予想。見込み。また、こうだろうという推測。
※浮世草子・本朝二十不孝(1686)二「外よりの思はくには、五万両も有べきやうに見ゆべし」
(ハ) ある人に対して、他の人が持っている考えや感じ。評判。気うけ。
※日葡辞書(1603‐04)「ヒトノ vomouacuga(ヲモワクガ) ハヅカシイ」
② ある人を恋い慕うこと。思いをかけること。
※評判記・役者評判蚰蜒(1674)序「今村のむらなきかいなにおもわくなんどをほり付」
③ 自分が思いをかけている相手。情人。愛人。
※仮名草子・都風俗鑑(1681)一「物ずきにまかせて以為(オモハク)をこしらへ」
とある。
「故人なからん」は『新日本古典文学大系69 初期俳諧集』の注は、
送元二 王維
渭城朝雨浥軽塵 客舎青青柳色新
勧君更盡一杯酒 西出陽関無故人
の詩を引いている。故人はここでは親しい人の意味になる。
自分で洗濯物の砧を打つと、愛しい人も去って行ってしまったんだと悟り旅に出る。要するに感傷旅行。
九十六句目
おもはくが故人なからん旅の空
一盃つくすひとりねの床 松意
感傷旅行なので一杯の酒を飲んで早々に寝る。遊び歩いたり遊女を呼んだりしないのは「もう恋なんてしない」というところか。
九十七句目
一盃つくすひとりねの床
恋侘ておもきまくらの薬鍋 一鉄
恋の病はどんな薬も効かないが、薬鍋の中身は酒じゃないだろうね。
九十八句目
恋侘ておもきまくらの薬鍋
うき中言の返事をうらむ 松臼
中言(なかごと)はコトバンクの「精選版 日本国語大辞典「中言」の解説」に、
「① 両者の中に立って告げ口すること。なかごと。
※玉葉‐寿永二年(1183)一一月七日「義仲一人、漏二其人数一之間、殊成レ奇之上、又有二中言之者一歟」
② 他人のことばの途中に口をはさむこと。他人の談話中に話しかけること。ちゅうごん。
※滑稽本・続々膝栗毛(1831‐36)二「御中言(ごチウゲン)ではござりやすが、下十五日わたしのかたとおっしゃれば、もし小の月だと、此はう一千日の損」
とある。この場合は①の方で、第三者が何か良からぬことを言ったのだろう。それを真に受けるほうも受ける方で、はなから疑ってたのだろうけど。
「返事を・うらむ」のような下句の四三留は和歌・連歌・俳諧問わず一般的に嫌われているが、万葉集と談林俳諧には時折見られる。
九十九句目
うき中言の返事をうらむ
咲花のあるじをとへば又留守じや 志計
告げ口されたのを恨んでか、いつ行ってもいない。居留守だろう。
挙句
咲花のあるじをとへば又留守じや
すましかねたる金衣鳥なく 正友
金衣鳥(きんえてう)は鶯の別名。金の字に掛けて、借金を返済できずに身を隠したとする。
債権者には目出度くないが、借りた方としては借りたもん勝ちで一巻は目出度く終わる。
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