今日は二子玉川から経堂まで歩いた。
小坂緑地の小坂住宅にはつるし雛が飾られ、フラワーランド(瀬田農業公園)では沈丁花、ユキヤナギ、福寿草、杏、寒緋桜などが咲いていた。
砧公園の梅も見頃で、完成間近の馬事公苑の脇を通り、農大の河津桜は既に葉桜になりかけていた。
そのほかにもミモザやカモミールの咲いているのを見た。
経堂でたい焼きセゾンというビールを飲んだ。隣の店のたい焼きも食べた。最後は太子堂のCat's Meow Booksに行った。猫はみんな爆睡していた。『うらやまし猫の恋─越人と芭蕉─』(吉田美和子著、二〇〇八、木犀社)を買った。
猫の日も終わり、旧暦二月はまだ明日ということで、今日はこの俳話の既出・未出含めて、今のところ集まった猫の恋の句の一覧を作ってみた。
春を待たずに。
春来ると猫もいそがし品定 之道「己が光」
柊・鰯の頭・豆うつよりはやく、
立春の暦は
豆をうつ音よりはやし猫の恋 越人「鵲尾冠」
正月もまだすすくさしねこの恋 露川「菊の香」
まず猫が通ってくる。
猫の妻竃(へつい)の崩れより通ひけり 芭蕉「江戸広小路」
京町のねこ通いけり揚屋町 其角「焦尾琴」
猫の恋隣はつらし枳殻垣 里楊「草苅笛」
北窓に後めたしや猫の恋 万山「西國曲」
壁の穴覗ツ鳴ツねこの恋 氷下「千鳥掛」
恋守や猫こさじとは箱根山 東順「虚栗」
妻恋は人やとがめん寺の猫 智月「華摘」
鎌倉も別のことなし猫の恋 南鄰「芭蕉庵小文庫」
梅が香に鼻うごめくや猫の妻 史邦「俳諧猿舞師」
老猫の尾もなし恋の立すがた 百里「其袋」
猫瀬戸や妻に心をつくし舟 玖也「俳枕」(安芸)
箱戸桶や猫の落合いもせ川 如船「俳枕」(紀伊)
そして声を上げる。
猫の恋初手から鳴きて哀れなり 野坡「炭俵」
あたまからないて見せけり猫の恋 枳邑「二葉集」
我影や月になを啼猫の恋 探丸「続猿蓑」
おもひかねその里たける野猫哉 巳百「続猿蓑」
いろいろの声を出しけりたはれ猫 穂音「一幅半」
田作りの口で鳴きけり猫の恋 許六
猫も我におされて鳴な小夜鵆 一邑「千鳥掛」
おろおろし妻に呼るる猫の顔 車庸「己が光」
寂蓮の詠歌ちぎるか猫の妻 露沾「己が光」
化粧する果やなき出す猫のこひ 史邦「有磯海」
呼出しに来てはうかすや猫の妻 去来「芭蕉庵小文庫」
啼々て暁声や猫の恋 夏長「俳諧猿舞師」
鶏の啼ばなき出す猫のこひ 广盤「俳諧猿舞師」
食時にはづれて啼や猫の恋 葫官「俳諧猿舞師」
札張し上にも啼かねこの恋 白良「俳諧猿舞師」
猫や声身のうき浜の鰒のわた 松陰「俳枕」(筑紫)
浮かれる。
石磨の音にうかれつ猫の恋 孤松「幾人主水」
まとふどな犬ふみつけて猫の恋 芭蕉「茶のさうし」
猫の恋通ふや犬の鼻の先 重行「陸奥鵆」
猫の恋のぼりつめてか屋根の音 信昌「一幅半」
女にかはりて
なれも恋猫に伽羅焼てうかれけり 嵐雪「虚栗」
愛あまる猫ハ傾婦の媚ヲ仮 才丸「虚栗」
三味線の皮のうき名や猫の恋 木導「草苅笛」
よし原やたばこも入らず猫の恋 許六「渡鳥集」
うつつなや主も見知らず猫の恋 東以「俳諧猿舞師」
十二支にもれてや侘る猫のこひ 種文「俳諧猿舞師」
恋に迷う。
ふみ分て雪にまよふや猫の恋 千代女
行衛なき恋に疲や船の猫 擧桃「花の雲」
うき恋にたえてや猫の盗喰 支考「続猿蓑」
麦めしにやつるゝ恋か猫の妻 芭蕉「猿蓑」
痩る程恋する猫や夜の雨 貴和「北國曲」
鞠それて妻乞猫の行衛なし 沾竹「千鳥掛」
猫の五器あはびの貝や片おもひ 秀和「其袋」
若衆には化る知恵なし猫の恋 支考「草苅笛」
何をがな妻乞猫に喰すべき 重行「俳諧勧進牒」
縁遠き俎箸疵や猫のつま 貞喜「庵桜」
喧嘩する。
うき友にかまれて猫の空ながめ 去来「猿蓑」
にくまれてたはれありくや尾切猫 芦本「皮籠摺」
美尾谷が錣(しころ)になくや猫の恋 卷耳「北國曲」
いがみあふ中にうき名や猫の妻 舎六「渡鳥集」
懐旧。
懐旧や雨夜ふけ行猫の恋 千那「鎌倉街道」
ははき木の我が影法師や猫の恋 斗曲「北國曲」
邪魔される。
手をあげてうたれぬ猫の夫かな 智月「卯辰集」
のら猫の恋ははかなし石つぶて 等年「西國曲」
雨だれの水さされてや猫の恋 化光「北國曲」
うたた寝を取まかれけり猫の恋 里倫「俳諧猿舞師」
成就。
朧月猫とちぎるや夜の殿 越闌「正風彦根躰」
終わり。
猫の恋やむとき閨の朧月 芭蕉「をのが光」
うらやまし思ひ切る時猫の恋 越人「猿蓑」
盗して見かぎられけり猫の妻 乙由「皮籠摺」
羽二重の膝に飽きてや猫の恋 支考「東華集」
傾城の生れかはりか猫の妻 木導「韻塞」
更る夜を水のむ猫の別かな 川支「有磯海」
声たてぬ時が別れぞ猫の恋 千代女「千代尼句集」
猫の恋風のおこらぬ斗なり 風国「有磯海」
こがれ死ためしも聞ず猫の妻 史邦「芭蕉庵小文庫」
升落し中避る猫の別哉 宗旦「庵桜」
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