今日から霜月。
あっという間に時が過ぎて行く。
新暦では今年もあとわずか。
では「野は雪に」の巻の続き。
八十七句目。
机ばなれのしたる文章
媒をやどの明暮頼みおき 一以
書が上手いと恋文の代筆とかをさせられる。媒は「なかだち」。
八十八句目。
媒をやどの明暮頼みおき
ちやごとにあらで深きすきもの 正好
「ちやごと」は茶事で茶道のこと。
『校本芭蕉全集 第三巻』(小宮豐隆監修、一九六三、角川書店)の注に、
「茶道の数奇者ではなく別のすきもの(好色漢)であるとの意。」
とある。
八十九句目。
ちやごとにあらで深きすきもの
うさ積る雪の肌を忘れ兼 蝉吟
「茶事」にはコトバンクの「デジタル大辞泉の解説」によれば、「寄り集まって茶を飲むこと。茶菓を供して話し興じること。」という意味もある。要するに茶飲み話だ。まあ、そういう茶飯事ではないということか。
「積もる雪の深き」と掛けてにはになる。
九十句目。
うさ積る雪の肌を忘れ兼
氷る涙のつめたさよ扨 宗房
前句の浮かれた恋心を悲恋に変える。「扨」は「さて」。
九十一句目。
氷る涙のつめたさよ扨
訪はぬおも思月夜のいたう更 正好
せっかくの月夜なのに愛しいあの男は尋ねて来てくれない。王朝風の恋で連歌っぽいが「訪わぬをも」に「おもひ」と続けるところに俳諧がある。
九十二句目。
訪はぬおも思月夜のいたう更
律のしらべもやむる庵室 一以
王朝風なので雅楽の律の調べとする。庵室だから
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