今日は台風が朝には南九州に上陸し、今頃は若狭湾の方に抜ける頃か。関東でも一日中雨が降った。
それでは、なかなか進まないけど「蓮の実に」の巻の続き。
十句目
豊国の奥は小蝶の羽の弱シ
当座の嵐手負つれのく 西鶴
前句の「小蝶の羽の弱シ」を怪我人の比喩として、嵐のせいとした。「豊国」は単なる舞台になり、捨てている。重い展開が続いた所での展開を図るために遣り句と見ていいだろう。
十一句目
当座の嵐手負つれのく
酒ゆへに常の魂闇と成(なり) 西鶴
当座を宴会だとか興行とかの場にして、酒が過ぎて狼藉を働いたのだろう。蕉門でも猿蓑の風でより軽くてリアルな展開が求められて板敷きだけに、ここでも庶民のリアルな場面へ展開したい所だろう。
十二句目
酒ゆへに常の魂闇と成
借ス人もなき大年の宿 賀子
酒に溺れて転落した身には、大晦日だというのに借金の返済を迫られるどころか、金すら借りられないで一人大晦日を宿で過ごす。
笑いに持っていくというよりは、酒に溺れるとこうなるよという教訓めいた展開は、やはり蕉門とは違う。
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