2019年12月24日火曜日

 はぴほりー。
 俳諧の時代にはまだクリスマスは日本に入ってきてなかったので、平常どおりに。

 皷角はどういう人なのかまったくわからないが、天和の頃に活躍した人で、千春撰の『武蔵曲』(天和二年)にも、

 雪の卦や二陰生ズル下駄の跡   皷角

の句がある。雪の上に付いた下駄の後が二が横に二つ並んだ状態で、易の陰が二つ(==)になる。
 この句は捨女の句と伝えられている、

 雪の朝二の字二の字の下駄の跡  捨女

に似ている。
 『虚栗』の冬の句は前回紹介したが、それ以外の句は、

   在原寺ニて
 美男村の柳はむかしを泣せけり  皷角

 特に説明の必要のない句だ。
 在原寺は奈良の天理市にある不退寺の別名だという。ここには、

 うぐいすを魂に眠るか嬌柳    芭蕉

の句碑があると言うが、同じ『虚栗』の皷角のこの句隣に並んでいる。

   寒食
 木食も香炉に煙なき日なり    皷角

 「寒食(かんしょく)」はコトバンクの「デジタル大辞泉の解説」に、

 「古代中国で、冬至から105日目に、火気を用いないで冷たい食事をしたこと。そのころは風雨が激しいので火災予防のためとも、また、一度火を断って新しい火で春を促すためともいう。」

とある。
 「木食(もくじき)」はウィキペディアに、

 「木食戒(穀断ち)(火食・肉食を避け、木の実・草のみを食べる修行)を受けた僧のこと。木食上人ともいう。」

とある。
 普段から火を用いない木食戒の僧は香炉の火を絶つ日だ、というのだが、本当だろうか。

 唐扇はすねたり和扇ハ艶也渋団  皷角

 中国の扇子が渋団扇を見て「和扇は艶也」といってすねるというのだが、よくわからない。

 葺かへて不破のたびねの紙帳哉  皷角

 「紙帳(しちょう)」はコトバンクの「デジタル大辞泉の解説」に、

 「紙をはり合わせて作った蚊帳(かや)。防寒具にも用いた。」

とある。不破の関の破れた板庇も新しく葺いたのかと思ったら、紙帳を張って旅寝しているだけだった。

 あさぢふや地蔵の闇を問蛍    皷角

 これはわりと普通の句。説明の必要はないだろう。

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