『虚栗』にあった、よくわからない句。
不二に目鼻混沌の王死シテより 皷角
「混沌の王」で検索するといろいろなゲームキャラが出てきてしまう。その中でようやく見つけたのが「荘子『混沌』」だった。『荘子』内篇應帝王篇第七に、
「南海之帝為倏、北海之帝為忽、中央之帝為渾沌。倏与忽、時相与遇於渾沌之地。渾沌待之甚善。倏与忽、謀報渾沌之徳、曰人皆有七竅、以視聴食息。此独無有。嘗試鑿之。日鑿一竅、七日而渾沌死。」
南海の帝は倏、北海の帝は忽、中央の帝は渾沌という。倏と忽は時々渾沌の地で合い、混沌のもてなしに何かお返しをしようと相談した。
人には七つの穴があり見たり聴いたり食べたり息したりしている。渾沌にだけはそれがない。穴を開けてみたらどうか。
一日一つづつ穴をあけていったら七日目に渾沌は死んだ。
これが出典である事に間違いはないだろう。
ところで「不二に目鼻」とは何だろうか。
これは混沌=崑崙とし、西王母のいる崑崙山と対になる、東王父のいる蓬莱山に例えられる富士山にも穴を開けたらどうかと、そういう発想だったのではないか。
渾沌に七つの穴が開いて死んだ後、次は富士にも目鼻を開けてゆけば‥‥、そういう句だったのでは。
同じく『虚栗』の皷角の句。
雪ヲ吐て鏡投けり化粧姫 皷角
化粧姫はよくわからないが、雪を吐くなら雪女のようなものか。自分の顔を見るのが嫌なのか鏡を投げ捨てる。
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