2019年2月27日水曜日

 米朝首脳会談が始まった。マスコミの予測は悲観的で、あたかも米中最終戦争に導こうとしているみたいだが、言霊ということもあるし、どこまでも楽観主義者でいたい。
 願わくば、朝鮮戦争の終結宣言が為され、米朝平和不可侵条約や在韓米軍の撤収から市場の開放、そして北朝鮮が高度成長へ向けてロケットスタートと、とんとん拍子に行ってほしいな。これってネトウヨの妄想かな?でもみんながそう思えば‥‥。
 とにかく、あの国がなくならないなら、目一杯良い国になってもらうほかない。
 それでは世間話はこれくらいにして「此梅に」の巻の続き。

 八十九句目。

   わけ入部屋は小野の細みち
 忍ぶ夜は狐のあなにまよふらん    桃青

 美女に誘われて部屋に行ったらいつの間にか眠ってしまい、気付いたら野原の真ん中の細道に横たわっていた。よくある話だ。
 九十句目。

   忍ぶ夜は狐のあなにまよふらん
 あぶらにあげしねづなきの声     信章

 「鼠鳴き(ねずなき)」はweblio古語辞典の「学研全訳古語辞典」に、

 「ねずみの鳴き声をまねて口を鳴らすこと。人を呼んだり子供をあやしたり、遊女が客を呼び入れたりするときにする。「ねずみなき」とも。」

とある。
 遊女でなく狐だったとなれば、鼠鳴きの声も油で揚げてあったか。
 九十一句目。

   あぶらにあげしねづなきの声
 唐人も夕の月にうかれ出て      桃青

 「唐人」は中国人だけでなく外国人一般をさす言葉として用いられ、西洋人も含まれていた。
 油で揚げた「てんぷら」は江戸時代に急速に普及していったが、西洋(南蛮)が起源ということも意識されていた。
 「唐人」なら月見でてんぷらを食うかもしれない、というあくまで空想と思われる。
 九十二句目。

   唐人も夕の月にうかれ出て
 古文真宝気のつまる秋        信章

 『古文真宝』はウィキペディアに「漢代から宋代までの古詩や文辞を収めた書物。宋末か元初の時期に成立したとされる。」とある。
 同じくウィキペディアによれば、

 「日本には室町時代のはじめごろに伝来した。五山文学で著名な学僧たちの間に広まり、木版で刊行された(五山版)。
 江戸時代には数多くの刊本が出されて広く読まれ、注釈書も多く著された。井原西鶴や松尾芭蕉も『古文真宝』に言及しており、簡便な教養書として広く読まれていたことが窺える。」

とある。ただ、芭蕉がどこで『古文真宝』に言及していたか思いだせるものがなく、勉強不足で申し訳ない。
 ここでの唐人は中国人で、月見の座に中国の人がいて難しい漢詩を持ち出されても、日本の一般庶民としては気が詰まる。
 さて、「此梅に」の巻もそろそろ終わりで名残の裏に入る。
 九十三句目。

   古文真宝気のつまる秋
 酒の露たはけ起て白雲飛ぶ      桃青

 「秋風起兮白雲飛」は漢の武帝の「秋風辞」。これをパロディにして、酒に酔ってバカやって気の詰まる秋の白雲も吹っ飛んだとする。
 九十四句目。

   酒の露たはけ起て白雲飛ぶ
 天狗だふしや人のたふれや      信章

 「天狗倒し」はコトバンクの「デジタル大辞泉の解説」に、

 「深山で、突然すさまじい原因不明の大音響が起こり、行ってみるとなんの形跡もないこと。また、原因不明で、突然すさまじい音がして倒れそうもない大きな建物が倒壊すること。」

とある。
 天狗の魔法だろうか。いや、実は酔っ払いが暴れただけだった。去年の渋谷のハロウィンでも軽トラックが倒された。

0 件のコメント:

コメントを投稿