ネットで芦田愛菜ちゃんの句が話題になっていた。
学校の傘立て
青空や赤い長靴鬼ころぶ 愛菜
「鬼ころぶ」の意味がわからないが、この場合の「鬼」はひょっとして強調の言葉で「鬼のようにころぶ」ということだろうか。
梅雨の雨が上がり青空が見えると喜んで、朝履いてきた赤い長靴で外に飛び出すが、履きなれない靴なので派手にころんでしまったというなら、なかなか面白いのではないかと思う。やはり凡人の句ではない。
季語のない弱点は前書きで補えばいい。
梅雨晴れの学校の傘立てにて
青空や赤い長靴鬼ころぶ
ところで話は変わり、今日も「紫陽花や」の巻の続き。二十三句目から。
五つがなれば帰ル女房
此際(このきは)を利上ゲ計に云延し 杉風
(此際を利上ゲ計に云延し五つがなれば帰ル女房)
「利上げ」は今日では金利を上げることだが、ここでは元本を返済せずに利息分だけを支払うことを言うらしい。ただ、辞書を見ると用例がこの句だというのは気になる。ほかの用例はあるのだろうか。
元本が減らなければ永遠に利息を払い続けなくてはいけないし、それすら滞るとなれば、後は借金が雪だるま式に増えてゆき、借金地獄に落ちてゆくパターンだ。女房にも逃げられる。
無季。
二十四句目
此際を利上ゲ計に云延し
まんまと今朝は鞆(とも)を乗出す 桃隣
(此際を利上ゲ計に云延しまんまと今朝は鞆を乗出す)
鞆は備後国の鞆の浦で瀬戸内海の海上交通の要。何とかこれからの商売で借金を返すんだと、前向きに転じた句だ。
無季。「鞆」は名所。水辺。
二十五句目
まんまと今朝は鞆を乗出す
結構な肴を汁に切入て 八桑
(結構な肴を汁に切入てまんまと今朝は鞆を乗出す)
「まんま」を飯に取り成す。朝飯をしっかり取ってから航海に乗り出す。
無季。
二十六句目
結構な肴を汁に切入て
見世より奥に家はひっこむ 芭蕉
(見世より奥に家はひっこむ結構な肴を汁に切入て)
これは京の町屋だろうか。間口は狭いが奥行きが長く、うなぎの寝床のような家は税金対策だとも言われている。奥の間では結構な肴を惜しげもなく汁に切り入れている。
無季。「家」は居所。
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