昨日の夜のスーパームーンは朧月だったが、今朝のスーパー有明ムーンは澄んでいた。
有明というと、『炭俵』にこんな句があった。
在明となれば度々しぐれかな 許六
関東では時雨ることはほとんどないが、彦根では有明に時雨はお約束なのか。
同じ『炭俵』の時雨の句。
黒みけり沖の時雨の行どころ 丈草
『猿蓑』の時雨あるあるとはまた違った、水墨画の空を墨で暗く塗ったような、遠くから見た沖の時雨の風景を描く絵画的な句だ。
丈草というと、『続猿蓑』に、
あら猫のかけ出す軒や冬の月 丈草
の句もある。蕪村の風を先取りするかのような絵画的な句だ。
『猿蓑』の頃にひととおりあるあるネタが出尽くしてしまったせいだろうか。芭蕉もまた『炭俵』に、
鞍壺に小坊主乗るや大根引 芭蕉
の句がある。単なるあるあるネタから、ありがちな光景でも視覚的の鮮烈なイメージを狙う方向に発展して行ったのだろう。
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