2016年10月16日日曜日

 今日は十六夜で満月。
 月とは関係なく、今日は越人撰の『鵲尾冠(しゃくびかん)』から拾ってみた。

   清少納言もよく見て
 木耳(きくらげ)の形(なり)むづかしや猫の耳   機石
 南天は星を括(くく)るや実の光          同

 機石という作者のことは不明。
 乾燥させた木耳を見て猫の耳みたいだと思った人はたくさんいると思う。これだけだと「あるある」だが、耳が木耳みたいなのは耳が黒い猫に限られるというところで、清少納言の『枕草子』の「猫は上のかぎり黒くて、他はみな白からん」を引いてきて、「清少納言もよく見て」という前書きをつけているあたりは、出典に頼る古典の知識をひけらかしたふうなところは其角の風か。
 「むづかし」は「面倒くさい」だとか「うざい」とか言う時に使う言葉で、単なる三角形のように見えて意外に複雑な形をしている所をそう表現したか。木耳は茸の一種なので秋の句になる。ただし近代では夏。
 南天の句は南天の実が星を括って束にしたみたいだという句。「南天の実の光は星を括るや」の倒置。南天の実は秋だが、近代では冬とする場合もある。

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