今日は旧暦八月二十七日で葉月ももうすぐ終わり。今日も一日雨だった。
「一、重付事
いたくな吹そ山の夕かぜ
露のぼる草の庵の板びさし
しめぢが原はただ秋の草
うき夕袖を涙になをしめて
とひてやゆかんさ夜の中山
さやかにも道はおぼえずふる雪に
あまりにうきは深山べの里
袖はよもほすひまあらじ雨そそぎ
いくたびおしむ命なるらん
これぞ此人のたづねし生田山
もしやと後をたのむ玉づさ
あま人のかくとはこれかもしほ草」
「重付事」は「重ねてには」とも言う。上句の末尾と下句の頭とで同じ音を重ねて付ける付け方で、「板びさし→いたくな」「なをしめて→しめぢが原」と付く。
三番目の例は上句の頭の「さやかにも」に下句の末尾の「さ夜の中山」と付く変則的な重ねてにはになっている。
あとは「雨そそぎ→あまりに」「生田山→いくたび」「もしほ草→もしや」と付く。
これは和歌の序詞から来たものと言えよう。
かくとだにえやは伊吹のさしも草
さしも知らじな燃ゆる思ひを
藤原実方朝臣
みかの原わきて流るる泉川
いつ見きとてか恋しかるらむ
中納言兼輔
現代的にするなら、筆者が昔作った歌だが、
寝ころべば凍りつくよなアスファルト
明日のことなどわすれていよう
のようなものか。
「一、かけてにはの事
山にかかりて雲やたつらん
是までは遠きをきつるけふの道
とくなる御法みな人のため
これや此たえなるはちす花のひも
ひく心こそうき中にあれ
とほるべき暮をいつとかしらま弓
涙こぼるる袖の上かは
秋さむき戸ぼその雨のはらはらと」
重付(重ねてには)は言葉の音の一致または類似でつなぐが、掛けてにはは意味のつながりの縁でつなぐ。「けふの道→山にかかりて」「ひも→とく」「弓→ひく」「はらはらと→涙こぼるる」
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