今日は新暦では2月22日、にゃんにゃんにゃんで猫の日。とはいえ、「猫好きは来る年来る年猫の年」って川柳があるように、猫好きには毎日が猫の日なのではないかと思う。
しまったなと思ったのは、猫の恋のことを一昨日書いてしまったことだ。今日に取って置けばよかった。そういうわけで、今日は猫の恋の句の拾遺。
まず、
北窓に後めたしや猫の恋 万山 「西國曲」
昔は冬の間は北窓を塞いでいた。「北窓塞ぐ」は冬の季語になっている。春になると北窓を開ける。その頃ちょうど猫の恋が始まり、そこから猫が出入りする。「うしろめたし」はかつてはやましいことがある時だけではなく、単に気がかりなことがあるという意味でも用いられた。
美尾谷が錣(しころ)になくや猫の恋 卷耳 「北國曲」
これは源平屋島合戦の時、悪七兵衛景清(平景清)と源氏方の美尾谷十郎国俊と格闘になり、国俊の兜の錣(しころ)をひきちぎったという逸話から来ている。雄猫同士の喧嘩する姿からの連想か。
痩る程恋する猫や夜の雨 貴和 「北國曲」
これは「麦めしにやつるゝ恋か猫の妻 芭蕉」と似ている。果たして本当に恋猫が食欲をなくすのかどうかはよくわからない。擬人化している感じがする。支考は「うき恋にたえてや猫の盗喰」と詠んでいる。
猫の恋通ふや犬の鼻の先 重行 「陸奥鵆」
これも「またうどな犬ふみつけて猫の恋 芭蕉」と似ている。
朧月猫とちぎるや夜の殿 越闌 「正風彦根躰」
これも「猫の恋やむとき閨の朧月 芭蕉」に似ている。猫の恋もこの辺でネタ切れか。
猫の恋ではないが、春の猫の句。
春雨や寝返りもせぬ膝の猫 桃醉 「陸奥鵆」
若菜摘姿なりけり猫背中 秏登 「皮籠摺」
あれちらせ上野の梅に猫のこゑ 厚風 「二葉集」
行春や猫に胡蝶のそで別 正興 「西國曲」
出代やあとに名残の猫の声 丶嶺 「西國曲」
うそ眠る猫のつらはる椿かな 一桃 「杜撰集」
柳されて嵐に猫ヲ釣ル夜哉 木因
猫の尾の何うれしいぞ春の夢 賢明
猫逃げて梅ゆすりけり朧月 言水
ねこの子のくんずほぐれつ胡蝶哉 其角
というわけで、春の猫はとりあえずこんなところで。
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