新茶の発句は『ばせをだらひ』(朱拙・有隣編、享保九年刊)に二句ある。
宿々は皆新茶なり麦の秋 許六
蝸牛(ででむし)も共に熬らるる新茶哉 有隣
どちらも新茶単独で夏の句になっているのではなく、「麦の秋」「蝸牛」という別の夏の季題が入っている。
許六の句はわかりやすい。麦秋の季節に旅をすると、どの宿でも新茶が出てくる。
有隣の句の「熬らるる」というのは、おそらく抹茶の元になる碾茶を作るときに、蒸してから乾燥させる、その乾燥の過程ではないかと思われる。お茶の葉と一緒に、葉にくっついていた蝸牛も蒸され炒られているというのは、当時の碾茶の製造過程でのあるあるだったのだろう。
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