まるで梅雨が明けたような日が続くけど、新聞には空梅雨と書いてあった。まだ明けてないらしい。
今日は旧暦閏五月二十二日ということで、元禄七年のこの日には、落柿舎で、
柳小折片荷は涼し初真瓜 芭蕉
を発句とする興行が行われている。連衆は珍碩あらため酒堂、去来、支考、丈草、そして後に惟然を名乗る素牛とそうそうたるメンバーだ。「落柿舎乱吟」という前書きがあるように、人数はそう多くないが順番でつけるのではなく、出勝ちでおこなわれたようだ。
発句は「柳小折の片荷は初真瓜にて涼し」の倒置。
「柳小折(やなぎこり)」は柳行李のことで、柳の樹皮を編んで作ったつづら籠のこと。本来は収納用で、それを天秤棒で担ぐというのは、誰かが差し入れでわざわざ持ってきてくれたものか。片方の荷はおそらく日用品で、もう一方に採れたての真瓜(まくわ)が入っていたのだろう。
真瓜は今日では「まくわうり」と呼ばれ、「真桑瓜」という字を当てているが、本来は「瓜」という字を「くゎ」と発音していたため、胡瓜に対して本来の瓜ということで真瓜(まくわ)と呼んでいたのだろう。だとすると、「まくわうり」は同語反復になる。
江戸後期の曲亭馬琴編の『増補 俳諧歳時記栞草』には、「甜瓜」と書いて「まくはうり」と読ませている。また、「美濃国本草郡真桑村、これ甜瓜の権輿(はじめ)也。故に真桑瓜と名(なづ)く。」とある。ウィキペディアもこの説を採っているし、ネット上では概ねこの説が採られている。ただ、出典はよくわからない。
西洋からメロンが入ってくるまでは真瓜は夏の甘味の代表で、この粋な贈り物を興にして興行が始まる。
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