今日は一日冷たい雨が降った。それでも桜は開き始めるのをやめることはなく、その姿には元気付けられる。
まあ、花も咲いたことだから、そろそろ花の句に行ってみよう。
勧酔吟
先寐入花見帰や花を夢 其角『伊達衣』
酔うとすぐ寝る人がいる。花見に行ってもそういう人はすぐ寝てしまうので、夢の中の花見となってしまう。「勧酔吟」という前書きは白楽天の「勧酒」あたりを意識しているのか。
君不見春明門外天欲明
喧喧歌哭半死生
遊人駐馬出不得
白輿素車争路行
帰去来 頭已白
典銭将用買酒喫
朝になると世間の人々が動き出して喧々諤々の騒ぎになっている。早く帰ろう。もう頭も白いし、酒でも飲んだ方がいい、そんな感じの詩だ。
こういう古典の言葉を換骨奪胎し、花見に行ってもすぐに酒飲んで寝てしまう幸せな?人の話にすり代える。其角の得意なパターンだ。
もう一句『伊達衣』から。
二時の食喰間も惜き花見哉 杜覚『伊達衣』
昨日の牧童の句に「食喰さして」とあったから、「食喰」で何か特別な読み方があるのかと思ったが、検索すると「しょっく」と読ませるカフェと何故か「東京喰種(トーキョーグール)」が出てきてしまう。特に「食喰」で何かイディオムがあるわけではなく、この句は「二時のしょく、くふ間も」と読んでいいのだろう。
「二時の食」というのは江戸時代の前期まではまだ朝夕の一日二食の所が多く、芭蕉の時代あたりから少しづつ昼食か夜食を加えて三食に変わって行ったようだ。だから「二時の食」は今の感覚でいえば「三度の飯」と同じに考えればいいのだろう。要するに飯喰う間も惜しい花見ということ。飯食わずに何しているかというと、どうせ飲んでいるのだろう。
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