今オリンピックをやっている平昌の名物ということで干鱈がテレビで紹介されたりしていた。まあ、開会式の会場の寒さを揶揄して、これじゃあ干鱈になるなんていわれたりしたが、開会式の日はちょうど居座ってきた寒気団が移動して、若干寒さが緩んだようだ。
平昌の干鱈はファンテと呼ばれる極寒の中で長期間乾燥させたもので、プゴよりも乾燥の進んだものだという。ファンテで作ったファンテクッは透き通ったシンプルなスープだという。
日本にも似たものはある。棒鱈と呼ばれるもので、東北や北海道で冬の間やはり長期に渡って天日干ししたもので、京都では正月料理に用いられる。
棒鱈は江戸時代からあったもので、元禄五年の初冬、許六亭で興行された、
けふばかり人も年よれ初時雨 芭蕉
を発句とする「けふばかり」の巻の二十一句目に、
當摩(たへま)の丞を酒に酔はする
さつぱりと鱈一本に年暮て 嵐蘭
の句がある。正月に向けて年の暮れに長時間掛けて棒鱈を戻し、正月の準備をするという句だ。ファンテクッは酔い覚ましに良いというから、當摩の丞がいくら飲んでもこれがあれば安心という意味もあったのか。
今では海老芋と一緒に醤油、みりんで炊く芋棒が京都名物になっているが、海老芋は江戸中期からというから、芭蕉の時代の料理法はよくわからない。
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