莫嗔野店無肴核薄酒堪沽豆莢肥と周南峯が句を感す
足あぶる亭主にきけば新酒かな 其角
前書きは『聯珠詩格』巻五「用莫嗔字格」の、
宿禾村 周南峰
山雨初収涼思微 樹林陰翳逗斜暉
莫嗔野店無肴核 薄酒堪沽豆莢肥
による。
返り点と送り仮名がふってあるので、
山雨初テ収テ涼思微ナリ 樹林陰翳シテ斜暉ヲ逗ス(逗字老)
嗔莫コト野店肴核無ヲ 薄酒沽ニ堪テ豆莢肥タリ(客途即景之真味)
となる。(早稲田大学図書館による)
『聯珠詩格』はコトバンクの「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「聯珠詩格」の解説に、
「中国,元の作詩法の書。于済の著。蔡正孫が増補。 20巻。大徳4 (1300) 年成立。初学者のために七言絶句の作り方を実際的に示したもの。中国で失われ,朝鮮,日本に伝わって読まれた。」
とある。
おそらく奥津宿で一泊した時の句であろう。そこでは薄い酒に豆のような簡単な肴しかなく、寒くて足をあっためていた亭主に聞いてみると、新酒だというのでとりあえずは満足した。周南峯の詩を思い起こせば、これもまた風流。

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