「甲戌紀行」の続き。
十三夜は浜松藩の家老の別邸か何かに呼ばれたのだろうか。『句兄弟』「隨縁紀行」に、
内玄関家老の客や十三夜 亀翁
の句があり、家老の家に呼ばれている。また、
後の月味方か原を一目かな 尺草
の句がある処から、三方ヶ原の方に呼ばれたと思われる。
十三夜浜松にていづれも古郷をかたるに
後のつき松やさながら江戸の庭 晋子
この家老の別邸の松を見ていると、江戸の自分の家を思い出す。其角も親が名医だったから、それなりの家に住んでいたのだろう。其角で松と言えば、
名月や畳の上に松の影 其角
の句が、この『句兄弟』にも収録されている。おそらく貞享元年の句で、芭蕉がそれに対抗して、
わが宿は四角な影を窓の月 芭蕉
の句を詠んだのではないかと思う。

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