9月10日の夜は岡部宿に泊まり、翌11日は小夜の中山を越えて掛川へ向かう。
小夜中山
道役に紅葉はくなり小夜の山 其角
道役は道路の管理人で、紅葉を掃いて街道をきれいに保つ。
翌9月12日は掛川から東海道を離れて秋葉神社に向かう。「隨縁紀行」の方には森、三倉、四十八瀬、といった道筋が記されている。
森は新東名の森掛川インターの方に森町がある。そこから北へ三倉川に沿ってゆくと今の森町三倉がある。県道58号線袋井春野線が昔の秋葉街道を踏襲するものであろう。
途中に「隨縁紀行」には、
袖すりや息杖できる松の蔦 松翁
の句があり、駕籠の乗って行ったのがわかる。
息杖(いきづゑ)はコトバンクの「精選版 日本国語大辞典「息杖」の解説」に、
「〘名〙 物をかつぐ者が持つ杖。かごかきなどが一息入れたり、荷物を支えるときなどに使用する。
※武家事記(1673)下「旗に用の器。請筒あり、手縄あり、息杖あり」
とある。芭蕉の旅は馬に乗ることが多かったが、其角さん御一行は駕籠に乗ることが多かったのだろう。其角はともかくとして、あとのメンバーはあまり旅に慣れてなかったのかもしれない。
駕籠かきは袖に触れるじゃまっけな蔦を息杖で切りながら進んでゆく。
おそらくこの日は下社の宿坊に泊まったのではないかと思う。参拝は翌日になる。

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