2016年9月26日月曜日

 彼岸花の句だが、許六撰の『正風彦根躰』にもう一句あった。

 赤々と残る暑さや死人ばな   孟遠

 孟遠もまた彦根藩士で許六の弟子。
 「赤々と」というと『奥の細道』の、

 あかあかと日はつれなくも秋の風   芭蕉

の名句が思い浮かぶ。赤々と沈む夕日も、どこか人間の一生に重ねて、この世の無常を感じさせる所があるが、その赤々を彼岸花の赤にしたところがなかなかだ。彼岸花が夕日に見える。
 「残る暑さ」は「残暑」で秋の季語ではないかという人がいるかもしれないが、当時は季重なりは何の問題もない。

0 件のコメント:

コメントを投稿