今日は晴れた。たばこ祭行ってきた。クラフトビールのHANOCHAも飲めた。
来年はもっとゆっくり見て回って、食べ歩きとかもしたいな。
さて、次の俳諧は同じ『炭俵』から、其角・孤屋両吟。
発句。
秋の空尾上の杉に離れたり 其角
「尾上の松」は名所だが、ここはただの杉で旅体と見ていいだろう。秋の変わりやすい空模様に無事に峠を越え、尾上の杉のもとを離れる。
元禄六年八月二十九日に其角は父の東順を亡くしている。そんな死出の旅路に思いを馳せていたのかもしれない。
脇。
秋の空尾上の杉に離れたり
おくれて一羽海わたる鷹 孤屋
人も旅するように、鷹もまた海を渡って行く。発句に特に何か寓意を読むわけでもなく、軽く景を付けるが、「海わたる鷹」に孤独な旅を暗示させている。
第三。
おくれて一羽海わたる鷹
朝霧に日雇揃る貝吹て 孤屋
日雇(ひよう)は港の人足であろう。船が入るというのでほら貝を吹いて召集する。遅れて鷹も一羽飛来する。
四句目。
朝霧に日雇揃る貝吹て
月の隠るる四扉の門 其角
前句の日雇が大勢集まるような場所ということで、月も隠れるような大きな門で、扉が四枚もある、とする。実際そういう門があるのかどうかはよくわからない。
五句目。
月の隠るる四扉の門
祖父が手の火桶も落すばかり也 其角
祖父には「ぢぢ」とルビがある。
四扉の門は『芭蕉七部集』の中村注に、「二枚を蝶番いでくくったのを双方から合わせた門の扉」とある。
ここでは月の隠れるようなもんではなく、月が隠れて暗くなった四扉の門で、小さの隠居所の門であろう。寒くて火桶を近くに置こうとするが、ちょっと持ち上げては落してヲ繰り返す。
六句目。
祖父が手の火桶も落すばかり也
つたひ道には丸太ころばす 孤屋
よろよろとした爺さんは火桶を持とうとすると落すし、細い山道を行けば丸太で転ぶ。
初裏、七句目。
つたひ道には丸太ころばす
下京は宇治の糞舩さしつれて 孤屋
前句の「丸太ころばす」を重いものを移動させる際の丸太を倒して並べておくことと取り成し、宇治に肥料用の糞(こえ)を運ぶ船を陸に上げる。
下京の糞便は宇治に運ばれて肥料として利用されてたようだ。
八句目。
下京は宇治の糞舩さしつれて
坊主の着たる蓑はおかしき 其角
京はお坊さんの多い所だが、寺の便所の糞便を運ぶときは蓑を着ていたのだろうか。
九句目。
坊主の着たる蓑はおかしき
足軽の子守して居る八つ下り 孤屋
八つの下刻というと春分秋分の頃なら午後二時過ぎの昼下がり。見た目は厳つい足軽も子守をしている。
坊主の蓑の不釣り合いに、足軽の子守の不釣り合いを付ける相対付けになる。
十句目。
足軽の子守して居る八つ下り
息吹かへす霍乱の針 其角
霍乱(かくらん)はコトバンクの「精選版 日本国語大辞典「霍乱」の解説」に、
「〘名〙 (「きかくりょうらん(揮霍撩乱)」の略。もがいて手を激しく振り回す意から) 暑気あたりによって起きる諸病の総称。現在では普通、日射病をさすが、古くは、多く、吐いたりくだしたりする症状のものをいう。今日の急性腸カタルなどの類をいったか。《季・夏》
※正倉院文書‐宝亀三年(772)五月・田部国守解「以二国守当月十四日霍乱一、起居不レ得」
※浮世草子・世間胸算用(1692)一「夏くはくらんを患ひてせんかたなく、衣を壱匁八分の質に置けるが」 〔漢書‐厳助伝〕」
とある。必ずしも霍乱=日射病ではないようだ。針を打って治す。
十一句目。
息吹かへす霍乱の針
田の畔に早苗把て投て置 孤屋
田植の最中に熱中症で倒れたが、大事な早苗は畔に投げて水に浸からないようにする。
十二句目。
田の畔に早苗把て投て置
道者のはさむ編笠の節 其角
「編笠の節」は『芭蕉七部集』の中村注に、「小唄の編笠節。はさむは順礼が御詠歌の間にはさんで歌う意。」とある。「歌謡遺産 歌のギャラリー」というブログによると、天正から慶長の頃にはやった小唄で、一節切(ひとよぎり)に合わせて唄ったという。
百姓が田植をする中を順礼の僧が古い小唄を口ずさみながら通り過ぎて行く。
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