2025年12月6日土曜日

AI俳画
  「甲戌紀行」の続き。

 9月26日は法華寺を経由して当麻寺へ行ったと思われる。

   当麻寺奥院にとまりて
 小夜しぐれ人を身にする山居哉  其角

 「人を身にする」は「人を思うは身を思う」を縮めた形か。コトバンクの「精選版 日本国語大辞典「人を思うは身を思う」の解説」に、

 「他人に情をかければ、やがては自分のためになるという意。情は人のためならず。
  ※北条氏直時代諺留(1599頃)「人を思ふは身を思ふ。人を憎むは身を憎む」

とある。時雨が来た時には人を雨宿りさせる人情が、廻り廻って自分が時雨にあった時にも帰って来る。

 世にふるもさらに時雨の宿り哉  宗祇

の句を踏まえたものであろう。
 時雨は冬の季語ではあるが、和歌では紅葉を染める雨として晩秋に詠むことも多い。まだ9月ではあるが、時雨に関しては厳密に10月からということはなかったのだろう。有名な、

 初しぐれ猿も小蓑をほしげ也   芭蕉

の句も9月の終りに詠まれている。

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