言葉というのは自分の中にあるものを人に伝えるものではない。
言葉はただ聞いた人の記憶を呼び起こすことができるにすぎない。
どういう記憶を引き出すかによって、そこに絵を描いたり、物語を作らせたり、感情を引き出したりする。
そしてそれがその人の本当に大切な記憶を引き出すことができた時、初めて名句は生まれる。
聞いた人全員にというのは無理な話だ。
人それぞれ違った人生があって、記憶もそれぞれ違っている。
誰もが同じ反応を引き出すなんてことはできない。
ただほんの何人か、あるいは一人だけでもそれを引き出すことができれば、句としては成功だ。
俳句の修行というのは真っすぐそこに向かうべきで、寄り道すべきではない。
自分にそれができるかどうか自信はないが、自分に言い聞かせるためにもここに言葉にしておきたい。
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